SecurityInsight | セキュリティインサイト

中国美味紀行その98「台湾特別編(その12)台湾名物のご飯とスープの組み合わせ──魯肉飯&魚翅肉羹」

 台南から台北に戻り、帰国する前に昼食で最後に食べたのが、魯肉飯(ルー ロウ ファン)と魚翅肉羹(ユーチー ロウガン)である。魯肉飯は台湾好きには言わずと知れた台湾名物のご飯もので、魚翅肉羹は魚翅(フカヒレ)を使ったスープである。

最後もやっぱり小さな店で

 台北駅の南側にある、小さな店。台湾によくある、店に入る道路側が開けっぴろげになっている店で、地元の人たちに混じって、台湾名物の魯肉飯と魚翅肉羹を食べることにした。

 魯肉飯は細かく賽の目状に切った豚肉を甘辛く煮込んでご飯の上にぶっかけた丼物で、実際は丼ほど大きくなく、普通のお茶碗ていどのお椀に乗って出てくる。

魯肉飯。たいていお椀のサイズは大と小があり、20〜30元ていど(約70〜110円)

 甘辛い味の肉もうまいが、これをご飯と一緒に食べるとさらに美味。タレがご飯にほどよく染み込んでいるところがたまらない。肉もひき肉ではないので、小さいながらも肉の食感が残っており、歯で噛みしめる感覚が心地よい。

 そして、魚翅肉羹。また羹(あつもの)である。台南で食べた魚羹と同様、あっさり味でとろみのあるスープ。フカヒレの存在はほとんど感じられなかったが、スープとはいえ肉団子がゴロゴロと入っているので、食べでがある。どうやら魯肉飯とセットで食べることが多いようだ。

魚翅肉羹。50元ていど(約180円)

 ちなみに、魚翅肉羹の「羹」の字は、台湾では「焿」(火へんに庚)を使うことが多いようで、どちらの字も読み方は同じである。

 これで、3泊4日の食べまくり台湾旅行はおしまい。次回からは再び東京で食べられる本格中国料理のあれこれについてお伝えしていく。
おまけカット。乾物や漢方薬などの問屋街である迪化街(ディー フア ジエ)。多くの日本人観光客を見かけた。ここでお土産にカラスミを購入

佐久間賢三
中国在住9年5か月を経たのち、尻尾を巻いて日本に逃げ帰る。稼いだ金は稼いだ場所で使い果たすという家訓を忠実に守ったため(?)、ほぼ無一文で帰国。食い扶持を稼ぐためにあくせく働き、飲みに行く暇も金もない日々を送っている。日本の料理が世界で一番美味いと思っているが、中華の味も懐かしく感じる今日この頃。