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中国美味紀行その105(日本編27)「小腹が空いた時のおやつ、または朝食にピッタリ──扁肉」

 前回に引き続き、沙県小吃で食べた小吃をご紹介する。今回は「扁肉」(ビエン ロウ)。漢字だけ見てもどんな食べ物であるか想像がつきにくいが、これは日本で言うところのワンタンである。沙県小吃では、これがスープに入って出てくる。

優しい味のワンタンスープ

 以前にも説明したことがあるが、中国でワンタンは地方によってさまざまな呼ばれ方をしており(「食べているうちにワンタンとの対話モードに──老麻抄手」)、沙県小吃の故郷である福建省では、ワンタンは「扁肉」または「扁食」(ビエン シー)と呼ばれている。ちなみに「ビエン ロウ」も「ビエン シー」も普通話(標準中国語)での読み方で、福建省では異なる読み方をするのだが、福建省の南部と北部では方言が異なり、読み方も違うので、ここでは普通話のみの読み方にしておく。

 で、沙県小吃で出される、スープに入った扁肉がこれである。

扁肉。皿に描かれているパックマンみたいな絵が、沙県小吃のチェーンロゴ

 肉がたっぷり入った小ぶりのワンタンが12個入っている。スープはあっさり味で、お腹にも優しい。ちなみに、8年ほど前に福建省のアモイで食べた時は、同じくらいの量で6元(当時のレートで約75円)だった。

 肉がたっぷりだけど、しつこくなく、するすると口の中に入っていく。これはおそらく、ヒラヒラした皮の部分がツルツルで、それで口当たりが優しくなっているからだろう。

 食事というよりおやつ的な食べ物で、そもそも“小吃”というのはその手の食べ物のことである。軽めの朝ご飯として食べるのも悪くない。

 次回は、この扁肉には付き物の麺をご紹介する。
 

佐久間賢三
中国在住9年5か月を経たのち、尻尾を巻いて日本に逃げ帰る。稼いだ金は稼いだ場所で使い果たすという家訓を忠実に守ったため(?)、ほぼ無一文で帰国。食い扶持を稼ぐためにあくせく働き、飲みに行く暇も金もない日々を送っている。日本の料理が世界で一番美味いと思っているが、中華の味も懐かしく感じる今日この頃。