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中国美味紀行その115(四川食い倒れ旅編4)「夕食後は外に繰り出して宵夜(夜食)に──焼烤&烤魚」

 友人宅で四川家庭料理をご馳走になった後、友人と旦那さんの3人でマンションの外に出ると、もう一人の友人と合流。夕食を食べて間もないのに、タクシーに乗ってレストランへと向かった。そこで食べたのは、四川人が大好きな焼烤(シャオ カオ)だった。

宜賓の人たちが大好きな串焼き

 と、本文に移る前に、前回書き忘れていたことがあった。前回、あたかも宜賓の料理をこの中国美味紀行で初めて取り上げるかのように書いてしまったが、実はこのコラムの記念すべき第1回「中国美味紀行(四川編)―その1『かえる干鍋』」から第4回(その2「スパイシーポークの肋骨ブリッジ乗せ」その3「ウサギ干鍋」その4「燃麺」)までは、以前にこの宜賓を訪れた時に食べた料理について書いていた。興味のある方は見ていただきたい。

 さて、最初に“夕食を食べて間もないのに”と書いたが、中国の人たちの食習慣の一つに“宵夜”(シァオ イェー。夜宵とも言う)というものがある。これは日本語にすると“夜食”のことで、日本で夜食というと学生が夜の勉強の合間に食べるものというイメージがあるが、中国では学生でなくても、夜遅めの時間に軽いものを食べる人がけっこういる(もちろん、夜遅くに食べるのは太る原因になったり、体によくないからと、宵夜をしない人も多い)。

 ちなみに四川の人は一般的にこの宵夜をよくしており、そこで好んで食べるのが焼烤である。焼烤は串焼きのことだが、特に宜賓の人はこの焼烤が大好きで、宜賓を代表する料理の一つと考えているほどである。以前の「その4『燃麺』」でも、夕食後に食べた焼烤について触れている。

 店に着いて頼んだのは、焼烤数十本と野菜類、そして烤魚(カオ ユー)である。

どっさり出てくる串焼き。左にあるのはビールの瓶。日本のビールよりも味が薄い

ピーナッツの甘みがスパイスの味を和らげるようで、肉の味に丸みが出てくる 中国の焼烤は一般的に日本の串焼きよりも肉が半分くらい小さく、串が2倍くらい長い。いろいろな部位の肉があるのだが、スパイスが強く、唐辛子もかかっているので、何を食べているのかさっぱり分からない。しかし、これを食べ慣れた四川の人なら、きっと味の違いが分かるのだろう。

 この店では、小皿に砕いたピーナッツが出てきて、お好みでこれを焼烤につけて食べる。さっき夕食を食べたばかりなのに、何本も食べられてしまうから不思議だ。おそらく一本一本が小さいから、ついつい箸が進むならぬ、ついつい串が進んでしまうといったところだろうか。

 もう一つの烤魚のほうも、四川料理ではお馴染みの一品である。

魚の姿がすっかり隠れてしまっているが、青菜や香味野菜を箸でかきわけて魚の肉を探り当てていく

 烤魚はナマズや雷魚などの大きめの川魚を焼いて、それを鉄板で香味野菜などと一緒に煮込んだ料理。淡白な味の川魚と激辛の味付けがマッチして、ビールが進む。宵夜にしてはかなり量も多く、味付けもヘビーだったが、大勢でわいわい言いながら食べているうちに、すっかり食べ尽くしてしまった。

 翌日からついに、本格的な食べまくりが始まる。

おまけカット1。成都から高速鉄道に乗り、もうすぐ宜賓に着く鉄橋の上からの車窓。川の向こうが宜賓の中心地

おまけカット2。宜賓でも公共バスは電気化が進んでおり、駅前のバスターミナルには充電器が

佐久間賢三
中国在住9年5か月を経たのち、尻尾を巻いて日本に逃げ帰る。稼いだ金は稼いだ場所で使い果たすという家訓を忠実に守ったため(?)、ほぼ無一文で帰国。食い扶持を稼ぐためにあくせく働き、飲みに行く暇も金もない日々を送っている。日本の料理が世界で一番美味いと思っているが、中華の味も懐かしく感じる今日この頃。