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吃貨美味探訪記 No.187(出張地元メシ編その3)「茶色ばかりですが、なにか?──愛知県名古屋市・なごやめし」

 今回取り上げるのは、初めて出張で名古屋に行った時に食べた「なごやめし」。ご存じのとおり名古屋といえば味噌を使った料理が有名で、しかも関東人には馴染みの薄い八丁味噌が使われていることが多い。初めて食べる本場の名古屋料理は、いったいどんなお味だったのか。

慣れの問題なのか、味の問題なのか

 先日、出張で名古屋駅に降りたところ、駅のコンコースでこんなポスターを見かけた。確かに見てのとおり、名古屋名物の味噌カツにエビフライ、ひつまぶし、味噌煮込みうどん、そして(おそらく)台湾ラーメンと、茶色の食べ物ばかりである。

 初めて名古屋に行ったのは2015年のこと。しかも出張である。関東人からすると、京都、大阪といったところは修学旅行や家族旅行で行ったりするが、名古屋というのは、あまり旅行で行く理由がない場所ではないだろうか。

 そんな名古屋に1泊2日で行くことになり、名古屋駅で乗り換えて金山駅に到着し、まず昼食で食べたのが、味噌カツ定食である。

 トンカツの上にたっぷりとかかっているのは、もちろんソースではなく、味噌だれ。味噌だれは甘い味付けだと聞いていたので、果たしてトンカツと合うのだろうかと恐る恐る口にしてみると、意外に合う。予想していたほど甘くなく、味噌だれはこってりとしていながらもでしゃばりすぎず、トンカツの甘みを引き立てていた。

 毎回この味はしんどいかもしれないが、たまに食べる分には非常によく、幸先のいいスタートとなった。

 そして夜。ネットで調べたら名古屋の繁華街といえば栄ということだったので、ビジネスホテルから地下鉄で栄まで出て、地元料理を出していそうな居酒屋に入ってみた。そこで頼んだ3品のうち、料理名を見てもまったく味が想像つかなかったのがこれ、「どて煮」である。

 大阪名物の「どて焼き」というのは聞いたことがあったが(食べたことはなかった)、それと似たようなものなのだろうか。見た目は色の濃いモツ煮込みのようである。

 中に入っていたのはモツとコンニャク、そして大根。八丁味噌ベースの汁は、味がかなり濃い。独特の苦味も少しあり、味噌の味ばかりして具材の味が感じられない。慣れの問題かもしれないが、こちらはあまり好きになれなかった。

 そして次が「手羽先唐揚げ」。

 手羽先の唐揚げなどどこでも食べられるのに、なぜ名古屋名物になっているのかよく分からないが、まあハズレのない定番の旨さ。ビールにもピッタリ合う。

 そして最後が名古屋コーチンの焼き鳥。

 たった1本だけしか頼まなかったのはどういうわけだろうか。記憶にないが、ちょっと寂しい。お味のほうは、普通に美味しい焼き鳥の味……といっては身もフタもないが、それほど味に敏感なほうではないので、やはり名古屋コーチンは美味い!といえないのが残念である。

 これに中ナマ2杯を飲んで、しめて2720円。上の写真を改めて見ると、確かに茶色い食べ物ばかりであった。

 店を出たあとは、しばらく栄の街をブラついてみたが、移動範囲が狭すぎたのか、特に特徴のある場所に出会うこともなく、そのまま地下鉄に乗ってホテルに戻ることとなった。

 翌日は岐阜県恵那市に用事があり、名古屋経由で東京に戻ったのだが、名古屋駅で食べた昼食も、また茶色い食べ物である。それはまた次回に。

おまけカット。特に意味はないが、この出張の時に撮った名古屋テレビ塔。2021年5月から名称が「中部電力 MIRAI TOWER」になっているようだ

佐久間賢三
9年5か月に及ぶ中国滞在から帰国してきて早5年半以上。日本での生活をなんとか続けながらも、外国のあの刺激的な日々が恋しくなってきている今日この頃。コロナ禍の影響で3年間、海外に行くことができなかったが、ようやくマレーシアに行くことができ、次はどこに行こうかとあれこれ考える日々を送る。