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吃貨美味探訪記 No.193(出張地元メシ編その6)「キャベツどっさり、焼きソバたっぷり──広島県福山市・お好み焼き」

 8月の暑い時期、新幹線に乗って広島県福山市へ。現地での用事を済ませたあと、夜は訪問先の人お薦めの居酒屋へ。そこで簡単に夕食を済ませ、まだ飲み足りなかったので、さらに別の店に入り、広島県らしい食べ物を食べた。広島名物のお好み焼きである。

生地は薄い1枚のみ

 現地の人に人気の居酒屋というのは、一見の訪問者にとっては必ずしもいい店とは限らない。こちらとしては現地らしい食べ物とか名物が気軽に食べられる店がよいのだが、現地の人にとっては、そういった店よりも、安いけど味がいい店とか、仲間と気軽に行ける店とか、そういう店のほうが人気があるものである。

 この時、訪問先の人に「福山では人気の店ですよ」と言ってお薦めしてくれた居酒屋も、安くて気軽に行ける類の店で、料理に特徴があるわけでもなく、カウンターでお店の人と話せる造りでもなかったので、一人で飲むにはあまりにもツマラナイ。出来合いの小皿料理を2、3品取り、生ビールを1杯飲んで退散した。

 というわけで、まだ飲み足りず、駅前をフラフラと歩いていたら、お好み焼きの店が。広島のお好み焼きは大阪や東京のものと違うとは聞いていたが、まだ食べたことがなかったので、入ってみることにした。

 頼んだのは、この店の定番だという「肉玉そば」。オーダーすると、目の前の大きな鉄板の上で店の人が焼いてくれる。

(左)お好み焼きといっても、生地の部分はこれだけ (右)生地の上にキャベツをどっさり

(左)さらにモヤシと豚バラ肉を乗せ、脇でソバを炒め始める (右)生地をひっくり返してキャベツや肉に火を通す。ソバは炒めるというよりも、焼き目をつけていく感じ

(左)ソバの上にキャベツと生地を乗せる (右)上にソースやマヨネーズをかけたら出来上がり

 生ビールを飲みながら、自分が頼んだお好み焼きがだんだんと出来上がってくるのを見るのは楽しい。生地の上にどっさりと盛られたキャベツが、火が通って押し付けられていくうちにペッタンコになっていくのも面白い。そうして目の前に出てきたのがこちらである。

 広島のお好み焼きは金属のヘラで食べる。右の写真では皿の上に乗せているが、本来は鉄板の上からヘラで取ったら、そのまま食べるものらしい。これは、広島のお好み焼きはもともと屋台から始まったことから、皿や箸といった洗い物を減らすために始めたのだとか。

 生地は薄い1枚だけだが、大量の焼きそばとキャベツが入っているので、ボリュームたっぷり。お腹も満足した。

 ところで、広島のお好み焼きのことを「広島焼き」と呼ぶと、広島の人は怒るという話を何かで読んだ記憶があるのだが、福山では「広島焼」という看板を掲げている店を見かけた。呼び方にこだわりがあるのは広島市の人で、福山市ではそこまでのこだわりはないのだろうか。広島市か福山市に次に行く機会があったら、現地の人に聞いてみたいと思っている。

おまけカットその1 福山駅から市バスに50分ほど乗って瀬戸内海にある鞆の浦へ。歴史的に風光明媚な港町として知られる

おまけカットその2 1867年、坂本龍馬が海運業務を行なっていた「いろは丸」と紀州藩の軍艦が鞆の浦の沖合で衝突した「いろは事件」の後、坂本龍馬が身分を隠してこの辺りに滞在していたという

佐久間賢三
仕事が忙しいわけでもないのに、出張以外にどこにも遊びに行かない日々。来年の旧正月にマレーシアに行く飛行機の予約を早々に取り、今からワクワクしている。