仕事で使って便利なオンラインストレージは?

ファイルの受け渡しや共同作業には、オンラインストレージが便利です。代表的なサービスは、OneDrive(マイクロソフト)Googleドライブ(グーグル)Dropbox(日本法人なし)Box(ボックス)です。

これら4つのサービスの特徴を簡単にまとめたのが下の表です。

サービス名 無料プランの容量 ビジネス向けプランの容量と価格
OneDrive 15GB 1TB/月420円
Googleドライブ 15GB 無制限/月1200円
Dropbox 2GB 1TB/月1500円(5人から)
Box 10GB 無制限/月1800円(3人から)

いずれも無料から利用できますが、より多くの容量や便利な機能を使おうとすると有料プランやビジネス向けプランの契約が必要です。

オンラインストレージサービスについては、容量や価格を見て、どれが "お買い得" かを決めることが多いようです。でも、実際には、自分やチームの使い方に合っているかのほうが重要になる場合が多いと思います。

そこで、仕事でよく利用する機能が使えるかどうかからサービスを比較してみます。

1つめの観点は、ファイルの全文検索ができるかどうかです。全文検索というのは、ファイル名だけではなく、ファイルの中に含まれる文字をキーワードに検索する方法です。

無料プランの場合、Webブラウザ上で全文検索機能が利用できるのは、上記の4つのサービスでは、Googleドライブだけです。OneDriveは、Windows 8以降はOSの機能と統合されていますので、OSの検索機能を使って、全文検索を行うという方針のようです。Dropbox、Boxも同様の使い方になります。

Googleドライブはファイル名だけでなく、ファイル内容に対して全文検索ができる

2つめの観点は、ファイルのプレビューが見やすいかです。仕事に必要な写真を選ぶといった作業の場合、はじめから大きな画像のサムネイルが表示されていると便利です。そうではなく、まず小さいサムネイルが表示され、クリックしないと中身が確認できないといったタイプでは作業効率が落ちてしまいます。

サムネイル画像が大きくファイルのプレビューが使いやすいのは、OneDrive、次に、Googleドライブとなります。DropboxとBoxは、小さいサムネイルをクリックして確認するタイプで、写真整理などの作業には向かないでしょう。

OneDriveの写真サムネイルは大きくて、内容の判別がしやすい

3つめの観点は、ファイル共有時に権限設定が細かくできるかです。権限には、閲覧はできるが編集はできない人、編集はできるが削除はできない人、ダウンロードができない人、ほかの人にファイルを共有できる人など、ユーザーとして実行できるさまざまな権限があります。また、ファイル自体にパスワードをかけられるか、閲覧回数やダウンロード回数を制限できるかといったファイルのアクセス権に関する権限もあります。

ファイルに対する閲覧制限をかけられるのは、無料プランでは、OneDriveとGoogleドライブ、Boxです。BoxやDropboxでは、細かな権限設定を行うには有料プランに移行する必要があります。逆に、OneDriveとGoogleドライブは、有料プランに移行しても、権限設定は無料プランとほとんど変わりません。

Dropboxはデスクトップと同期できるオンラインストレージのパイオニア。無料プランを仕事で使うには機能が足りないことも

Boxは有料プランを契約すると豊富な機能を利用できるようになる。ファイルを使ったコラボレーションが可能

感覚的な評価ではありますが、これらの条件をまとめたのが以下です。

サービス名 無料プランでの全文検索 サムネイルの見やすさ 有料プランでの権限設定
OneDrive ×
Googleドライブ
Dropbox ×
Box ×

このほかにも、ファイルのバージョン管理は何世代までか、バックアップは何ヵ所で行っているか、誰がいつ何をやったかをログとして確認できるか(監査ログの取得)など、仕事で使ううえでは欠かせない機能はたくさんあります。有料プランやビジネス向けプランの場合は、これらについては十分な対策がほどこされているので、特に心配しなくてもよいと思います。

また、これらのどれを使うかというより、いくつかを組み合わせて利用することもポイントです。文書、画像、動画といったファイル形式で使い分けるのも手ですし、メンバーが普段利用しているツールに合わせるほうが効率的な場合も多いと思います。

今回は比較対象にしませんでしたが、Adobe Creative Cloudで提供されているファイル共有機能の「Creative Cloud Files」も使いやすくなってきました。全文検索や権限設定は貧弱ですが、画像のサムネイルが見やすく、PhotoshopやIllustratorに慣れているデザイナさんとのやりとりをスムーズに行うことができます。Adobeアカウントを持っている人となら、有料プランの契約なしにフォルダ単位でのファイル共有が可能です。

Adobe Creative Cloudのファイル共有機能。フォルダ共有ができるようになり、ファイルのやりとりが簡単になった