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中国美味紀行その73(日本編6)「あのグルメドラマに登場した店で食べてみた──担担麺」

 中国から帰国して3年がたつが、いつの間にか日本では担々麺を出す店が異様に増えていた。だが、どこの担々麺も、大きなラーメン丼に胡麻ベースのスープと肉のそぼろが入った、いわゆる日本独自にアレンジされたものとなっている。そこで今回は、池袋駅西口にある、本場に近い担担麺を出しているという店に行ってみた。

味はかなり本場に近いけど、ちょっと量が多すぎた

 担担麺発祥の地は、四川省の省都・成都である。中国語では「担担麺」(ダンダンミェン)。19世紀半ば、陳包包という男が成都の路上で売り始めたのが始まりとされている。売り歩く際に使った天秤棒のことを四川語で「担担」ということから、この名前になったという。天秤棒で担いでいくので、スープは重すぎて運べない。そのため、担担麺はスープなしなのである。

 本場・成都の担担麺は、日本で一般的に食べられている担々麺とはかなり違う。ちなみに、筆者が成都で担担麺の有名な店で食べたものがこちらである。

下にタレが入っていて、よく混ぜてから食べる。お椀程度の大きさで、値段は100円前後

 今回行ったのは、池袋駅西口にある四川料理の店である。あの有名グルメドラマ番組にも登場したことがあるらしい。とはいえ、筆者が行った時には内装工事中で、入ったのはその別館である。まあきっと味は同じだろう。

 昼時だったということもあり、店は満員。あの番組に出たのは数年前のことのようだが、その威光は今なお輝いているのだろうか。

 客の8割方が、番組でも紹介されていたという担担麺をオーダーしていた。というわけで、この店で出てきた担担麺がこちらである。

左側に砕いたピーナツ、右側に肉のそぼろが入っている

 麺がスパゲッティみたいなのと、量が多いのがちょっと気になるが、見た目は本場の担担麺にかなり近い。タレと麺をしっかり混ぜ合わせてから食べるものなので、箸で混ぜてみたら、ほんとにスパゲッティナポリタンのようになってしまった。

ナポリタンみたいだが、赤というのはやはり食欲をそそる

 肝心のお味のほうは、ほどよい辛さと、花椒(フアジァオ)のほどよい痺れ具合は、かなり本場の味に近い。客の中には「担担麺、激辛で」と頼んでいる人がけっこういたが、成都の担担麺は決して激辛ではないことは付け加えておきたい。

 というわけで、お味的にはまあ満足だったのだが、ちょっと量が多すぎた。本場はこの半分以下の量である。夜の時間に何人かで四川料理を食べに来て、締めにこれをシェアして食べるというのが良さそうである。
 

佐久間賢三
中国在住9年5か月を経たのち、尻尾を巻いて日本に逃げ帰る。稼いだ金は稼いだ場所で使い果たすという家訓を忠実に守ったため(?)、ほぼ無一文で帰国。食い扶持を稼ぐためにあくせく働き、飲みに行く暇も金もない日々を送っている。日本の料理が世界で一番美味いと思っているが、中華の味も懐かしく感じる今日この頃。