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中国美味紀行その74(日本編8)「あの炭火丸焼きが日本でも!?──ウサギ肉」

 池袋駅北口に広がる繁華街の中心地はロサ会館。その周りの雑居ビルには今、多くの中国料理の店が入っている。ある年末、そのうちの一つで忘年会が開かれることになった。なぜそこが選ばれたかというと、そこはウサギの肉の料理を食べさせてくれるから。しかもそれは、ウサギの丸焼きだった。

四川省ではポピュラーなウサギ肉の料理

 フランスなどでは普通にウサギ肉の料理があるが、日本でウサギの肉を食べることは滅多にない。それは中国も同じだが、なぜか四川省だけはウサギ肉がよく食べられていて、四川人たちの大好物でもある。四川省の省都・成都に住んでいた頃、何度かウサギ肉を食べたことがある。

 その中で日本人でも美味しく食べられそうなのが、ウサギの丸焼き。絞めたウサギを真ん中から開いて、それをタレに漬け込んでから炭火でじっくりと焼き上げた一品である。

成都の人気店で焼かれていたウサギの丸焼き

 四川ではウサギ肉は麻辣味にして食べるのが一般的なようで(まあ、四川の料理の多くは麻辣味なのだが)、焼きあがった肉に麻辣味の調味料をからませてから食べることになる。

 そのウサギの丸焼きが池袋でも食べられるというのである。というわけで、テーブルについてさっそく出てきたのがこちら。

意外に大きい。写真右上が尻尾側である

 うーん、なんとも微妙なお姿である。日本で国産ウサギ肉を卸しているところなどあるのだろうか。それともやはり輸入モノだろうか。

 ひとしきり写真を撮ると、店員さんは肉を奥に下げていってしまった。テーブルの上の炭火で焼いていくのかと思ったら、それでは時間がかかりすぎるらしく、お披露目したあとはキッチンである程度の大きさにぶった切り、それをテーブルで焼くのである。

 お味のほうは、特に美味くもなく、不味くもなく。おそらく、というか確実に冷凍モノで、さばきたてが食べられる四川と同じ味を求めてもしょうがないということか。まあ忘年会の余興の一つ程度といったところだろう。その他の普通の料理は、美味しくいただきました。
 

佐久間賢三
中国在住9年5か月を経たのち、尻尾を巻いて日本に逃げ帰る。稼いだ金は稼いだ場所で使い果たすという家訓を忠実に守ったため(?)、ほぼ無一文で帰国。食い扶持を稼ぐためにあくせく働き、飲みに行く暇も金もない日々を送っている。日本の料理が世界で一番美味いと思っているが、中華の味も懐かしく感じる今日この頃。