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中国美味紀行その77(日本編11)「偶然出会った意外な美味──麻辣米線」

 雲南省の名物「過橋米線」(グォー チァオ ミー シエン)を食べるために、ネットで調べた池袋駅西口の店に行ってみた。お目当ての過橋米線はあるにはあったが、2〜3人用で一人では食べきれない量だったので諦めて、その代わりに食べた別の米線が意外に美味かった。これもまた、食べ歩きの楽しさである。

雲南料理なのか、はたまた四川料理なのか

 細い裏通りにある雑居ビルの3階。通りがかりにふらりと訪れる一見の客などまず来ない場所にある店である。20〜30人くらい入れそうな店内は7割方の入りで、風貌からしてそのほとんどが中国人。日本人らしき客は、端っこのほうにいた女性2人くらいだった。

 過橋米線を頼もうとメニューを見たら、2580円とやけに高い。店員さんに聞いてみると、これは2〜3人用で、小さいのはないという。

 仕方がないので、その代わりにオーダーしたのがこれである。

麻辣米線(マー ラー ミー シエン)880円

 米線は米で作られた麺で、中国で米の麺は一般的に「米粉」(ミー フェン)と呼ばれているが、中国南西部にある雲南省では米線と呼ばれている。その米線を使った有名な雲南料理が「過橋米線」なのだが、これはまた後日、ご紹介する。

 さて、この麻辣米線、スープの底のほうに他の具が潜んでいて、よく混ぜてからいただく。日本の麺料理の場合、ラーメンにしてもウドンにしてもソバにしても、具は麺の上に乗っかっているのが一般的だが、中国の麺料理は具が麺の下に入っているのが普通。このへんの食文化的差異を検証したら面白そうである。

 この店の米線は中国の麺にしては珍しく、しっかりコシがある。量も1.5人前くらいある。スープも中国の一般的な食堂で食べられる麻辣味で、なかなかよろしい。代用品としてたまたま頼んだものだったが、アタリだった。

 しかし、一つ疑問も出てくる。米線は雲南省の食べ物だが、麻辣は四川料理の味付けである。果たしてこれは雲南料理なのか、はたまた四川料理なのか。まあそういった細かいことは気にせず、美味しいものは美味しく食べるのが一番なのであろう。
 

佐久間賢三
中国在住9年5か月を経たのち、尻尾を巻いて日本に逃げ帰る。稼いだ金は稼いだ場所で使い果たすという家訓を忠実に守ったため(?)、ほぼ無一文で帰国。食い扶持を稼ぐためにあくせく働き、飲みに行く暇も金もない日々を送っている。日本の料理が世界で一番美味いと思っているが、中華の味も懐かしく感じる今日この頃。