中国美味紀行その113(四川食い倒れ旅編2)「成都発祥の“一人鍋”──冒菜」
- 2019/12/07 00:00
- 佐久間賢三
四川初日の昼は、四川大学の近くにある冒菜(マオツァイ)の店に。ここは、かつて成都に住んでいた時に、時おり行って食べていた店で、成都を訪れる機会があったら、ぜひまた来たいと思っていた店である。
中に入れる具材は量り売り
冒菜は、ここ成都発祥の食べ物。自分の好きな具材を選んで、辛いスープで煮込んでもらって食べる料理である。今から2年半ほど前に、池袋駅の北口エリアで食べた冒菜の記事を書いている(中国美味紀行その76・日本編10「四川省成都発祥“一人用の火鍋”──冒菜」)。
そこの記事でも書いているように、「冒菜は一人の火鍋、火鍋は大勢の冒菜」と言われている。つまり、火鍋はある程度の人数がいないと食べきれないが、冒菜は一人でも楽しめる火鍋のようなものである。しかも、鍋に自分で具材を入れて煮込んでいくという面倒がない。
冒菜店に入ると、まずは大きなボウルを2つ取る。ガラス張りの冷蔵庫の中には、いろいろな種類の野菜や肉・魚類が入っているので、自分の好きな物をボウルの中に入れていく。その際、野菜類と肉・魚類は別々のボウルに入れる必要がある。取った具材の重さによって料金が決まり、野菜類と肉・魚類では単価が違うからだ。二人で店に行った場合、それぞれ自分の好きな具を取って、別々に煮込んでもらってもいいし、二人分の具をボウルに入れて一緒に煮込んでもらってもいい。
具材を入れた二つのボウルをレジに行って重さを計ってもらい、スープの辛さを決めたら、お金を払って席に着いて待つ。しばらくして出てきたのがこれである。
スープの辛さは「中辣」か「大辣」、つまりは中辛か大辛しかなく、普段なら大辣を選ぶところだが、まだ四川に着いたばかりで、いきなり本場の大辛を食べたら胃がビックリしてしまうので、まずはウォーミングアップとして中辣にした。
中辛とはいえ程よい辛さで(辛いものが苦手な人にとっては大辛くらいの辛さがある)、野菜の味もしっかり味わえ、ご飯が進むこと進むこと。旅行中は食事で野菜っけがどうしても少なくなってしまうので、野菜をたくさん摂れるのもいい。もう少し青菜系を入れておけば良かった。
満腹になったところで、次なる目的地に向かうために成都東駅へ。成都滞在はわずか半日足らず(帰国前日にまた戻ってくる)。この先で、さらに美味しいものが待っている。
佐久間賢三
中国在住9年5か月を経たのち、尻尾を巻いて日本に逃げ帰る。稼いだ金は稼いだ場所で使い果たすという家訓を忠実に守ったため(?)、ほぼ無一文で帰国。食い扶持を稼ぐためにあくせく働き、飲みに行く暇も金もない日々を送っている。日本の料理が世界で一番美味いと思っているが、中華の味も懐かしく感じる今日この頃。