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中国美味紀行その117(四川食い倒れ旅編6)「意外にあっさり味で麺にコシもある──羊肉米線」

 四川省宜賓市の2日目の昼は、宜賓市に本社を持つ白酒(バイ ジウ)の大手メーカー・五粮液(ウー リァン イェー)の工場へ。ここには、現地の友人の一人が勤めており、工場内を案内してくれることになっていた。その前に昼食に食べに連れて行ってもらったのが、羊肉米線(ヤン ロウ ミー シエン)の店だった。

辛さは、食べているうちにやや汗ばんでくる程度

 五粮液の工場がある場所までは、宜賓の旧市街中心部から市バスで向かった。工場の入口には巨大な門があり、それが工場の広さを物語っていた。まだ仕事だった友人から微信(中国版LINE)の音声通話があり、車で門の近くまで迎えに来てくれた。

 もう昼近かったということもあり、工場案内の前に、羊肉米線の店に行くことに。工場内には社食があるそうだが、あまり美味しくないそうで、よく工場の外に食べに行くのだという。

 工場の門から車で2分ほど走ったところの店に入り、食べたのがこれである。

羊肉米粉。ご馳走してもらったので、値段は分からない

 米線(ミー シエン=ライスヌードル)が見えないほどのっかった羊肉のスライスと香菜(シァン ツァイ=いわゆるパクチー)、それに紅油(ホン ヨウ=ラー油のような、唐辛子でできた調味料)、その下には白っぽい透明スープ。このスープは羊肉を煮込んで作られている。

泡菜は、宜賓の食堂にはたいてい置いてある。右の唐辛子2種類はそれほど辛くない テーブルの脇には泡菜(パオ ツァイ=白菜の漬物)と、中国で山椒(シャン ジァオ)と呼ばれる薄緑色の唐辛子の酢漬け、それに唐辛子の干した物がある。それらを箸休めにつまみながら、もりもり食べていく。

 見た目とは異なり意外にあっさり味で、羊肉にも臭みはない。また米粉も、中国の麺類はあまりコシがないのがほとんどなのだが、ほどよい噛みごたえがあり、咀嚼の回数も増えていく。紅油をしっかりスープに混ぜてもそれほど辛くならず、食べているうちにやや汗ばんでくる程度。これは昼飯にちょうどいい。友人がときどきここに食べに来るというのもうなずける。

 あとから調べてみると、四川には塩辺羊肉米線なるものがあるということが分かった。塩辺(イェン ビェン)というのは、四川省の南端にある攀枝花(パン ヂー フア)市の中にある県の名前で(中国では、行政区分として市の下に県がある)、ここの名物がこの羊肉米粉なのだという。写真を見ると、宜賓で食べたものとほぼ同じだった。

 中国にはいろいろな麺類があるが、四川省も意外に麺の種類が多い。麻辣味の辛いものばかりではないのである。
おまけカット1。五粮液の工場の正門。誰でも自由に入ることができ、中には五粮液酒文化博覧館がある

おまけカット2。写真中央が製造工場で、奥に見えるのは五粮液の瓶の形をした建物。高さ74.8m・直径26.24mで、世界最大の実物広告としてギネスブックに載っているという

佐久間賢三
中国在住9年5か月を経たのち、尻尾を巻いて日本に逃げ帰る。稼いだ金は稼いだ場所で使い果たすという家訓を忠実に守ったため(?)、ほぼ無一文で帰国。食い扶持を稼ぐためにあくせく働き、飲みに行く暇も金もない日々を送っている。日本の料理が世界で一番美味いと思っているが、中華の味も懐かしく感じる今日この頃。