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中国美味紀行その120(四川食い倒れ旅編9)「夕食を食べ終えた後にデザートとして食べたのは──小龍蝦」

 四川省宜賓市の2日目の夜、現地の友人3人と一緒に烏魚火鍋を食べた後、おしゃべりしながらプラプラと散歩した。すると、一人の友人が「あそこの店に行こう!」と言い出した。さっきご飯を食べ終えたばかりなのに、その店は小龍蝦(シァオ ロン シァー)、日本語でいうところのザリガニ料理の店だった。

出てきたのは大量のザリガニ

 ザリガニ料理は、数年前に中国全土で大ブームになっているという情報をネットで見たことがある。その頃にはすでに中国を離れていたので、どれだけのブームだったのかよく分からないのだが、ザリガニ料理といえば夏の風物詩みたいなもので、筆者が中国にいた当時から普通に食べられていた。

 例えば上海には、中心部の旧市街の近くにザリガニ料理レストランがずらりと並ぶ通りがあるし、復茂(フー マオ)小龍蝦というチェーン店もある。中国南部の深圳でも、夏になると屋台でザリガニ料理が売られていたし、たらいに入った生きたザリガニが売られていたりしたものである。

 それはさておき、ザリガニ料理といえば、たいていは唐辛子系の辛い味付けになっていることが多い。唐辛子系の味付けといえば、四川料理がもっとも得意としているところ。宜賓で入った店で出てきたザリガニもこんな感じである。

麻辣小龍蝦

頭の部分は最初から取り除かれていた。ハサミの部分も食べられるが、殻が硬すぎて、しかも身は少ないので、普通は食べない ザリガニが浸っている汁は真っ赤っか。しかも、出来たてで熱々。ペラペラのビニールの手袋をして、硬い殻を剥いて食べていく。さっき烏魚火鍋を食べたばかりだというのに、こんなに食べられないよ……と思ったが、意外にさくさく食べられた。

 それもそのはず。量が多いように見えるが、ザリガニは食べるところが少なく、エビと同様、しっぽの部分だけである(ミソの部分も食べられるが、身が少ない)。しかも、しっぽの部分の身も小さい。

 これなら楽ちんで食べ切れると思っていたら、なんともう一つ別の味付けのものも頼んでいた。それがこれ。

蒜蓉(スァン ロン)小龍蝦

 こちらはニンニクがたっぷり入っており、辛くはないが、当然のことながら、ニンニクの風味が口の中で大爆発する。なるべくニンニクを身から取り除いて食べたが、これはこれで美味い。

 それにしても、宜賓の人たちは食事の前であろうが後であろうが、本当によく食べる。以前に宜賓に来た時も、レストランで夕食を食べたすぐ後に、路上の焼烤(シャオ カオ=串焼き)屋に行って串焼きを食べたものである。もうほとんどデザートのようなものだ。

 それにしては、太った人が少ないのが不思議である。
宜賓は観光地というわけでもないのに、街の中心部では川辺のビルや山がライトアップされている

佐久間賢三
中国在住9年5か月を経たのち、尻尾を巻いて日本に逃げ帰る。稼いだ金は稼いだ場所で使い果たすという家訓を忠実に守ったため(?)、ほぼ無一文で帰国。食い扶持を稼ぐためにあくせく働き、飲みに行く暇も金もない日々を送っている。日本の料理が世界で一番美味いと思っているが、中華の味も懐かしく感じる今日この頃。