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吃貨美味探訪記 No.140(大馬編その6)「カレーヌードルの汁なしと汁あり、どっちを食べる? 両方食べる!──咖喱麺その2」

 今回のマレーシア編は、前回に続き、イポーの咖喱麺(カレーヌードル)をご紹介する。前回も書いたがイポー(Ipoh、中国語では怡保)は華人が多い街で、筆者はマレーシアに来る度にこのイポーに来ている(というか、マレーシアを訪れるのはイポーの知り合いに会うのが目的であることがほとんど)。今回以降ご紹介していくマレーシアの料理は、ほとんどがこのイポーで食べたもの(=ご馳走してもらったもの)である。

クアラルンプールから高速道路を200kmほど北上し、この看板が見えたら、もうすぐイポーに到着する

実は有名だったイポーのカレーヌードル

 イポーは最近では“美食の街”として広く知られており、マレーシア国内から多くの観光客が美食を求めて訪れるようになっている。また、前回書いた「オールドタウン・ホワイト・コーヒー」は、今ではマレーシア全土および国外にも展開するレストランチェーンだが、もともとはイポーで始まった食堂である。

新成発の創業は1980年。現在は別の場所に移転している さて、いま思い返してみれば、イポーに来ると、なぜかカレーヌードルを食べに連れていかれることが多かった。ある日の朝、イポーの旧市街にあるカレーヌードルの有名店である怡保新成発(Sun Seng Fatt)に、知り合いの家族たち8人ほどと一緒に朝ご飯を食べに行った。カレーといっても、店名からすると、この店は華人経営のようである。

 丸テーブルにつくなり、知り合いの一人から「汁なしがいい? 汁ありがいい?」と聞かれた。と言われても、初めて食べるからどっちが自分の好みか分からない。というわけで、せっかくだから「両方食べる!」。マレーシアの麺料理はそれほど量が多くないので、2つくらい平気で食べられると思ったというのもある。

 そして最初に出てきたのが、汁なしのこちらである。

カレーヌードル1

 丼ではなくパスタ皿に入っているが、汁なしといってもけっこうスープがいっぱいである。麺がほとんど見えないほど。記憶が間違っていなければ、麺は河粉(ホーファン)という平たい米の麺だった。具には、鶏肉とエビ、モヤシが入っている。

 続いて出てきたのが、こちら、汁ありである。

カレーヌードル2

怡発茶室の創業は1955年と、新成発よりもさらに古い こちらは普通の麺か、細い米の麺だったと思う。具に入っている肉は叉焼のように見える。汁なし、汁あり、どちらも味はそれほど変わらなかったと思うが、スープにはココナッツミルクが使われていて、それほど辛くなく、スムースな味わい。ミントの葉を一口かじると、口の中に爽やかさが広がり、カレーの味わいをより深いものにしてくれる。ミントの葉は日本のカレーには合わないと思うが、インド系のカレーなら合うかもしれない。

 また別の年にイポーを訪ねた時には、これまたカレーヌードルが有名な怡発茶室(Yee Fatt Tea Shop)でも食べた。

 こちらでは汁ありを食べたが、汁なしのほうが有名なようである。

カレーヌードル3

 正直なところを言うと、イポーでこれまであまり意識してカレーヌードルを食べてこなかったが、原稿を書くためにいろいろネットで調べたところ、イポーのカレーヌードルはかなり有名なようである。次にイポーを訪れたら、現地の知り合いに頼んで、別の美味しい店に連れていってもらおうと思っている。
なんちゃってマレー語講座4。上の看板にある「KEDAI BUKU」(クダイ ブク)。kedaiは商店、店という意味で、マレーシアではよく見かける言葉。そして、bukuは本という意味で、英語のbookから来ている

佐久間賢三
9年5か月に及ぶ中国滞在から帰国してきて早5年半以上。日本での生活をなんとか続けながらも、外国のあの刺激的な日々が恋しくなってきている今日この頃。世界的なコロナ禍の影響でしばらくは海外旅行に行けそうもなく、雑誌の海外旅行特集や昔の写真を見てウサを晴らそうとするも、かえってウップンが溜まるという悪循環の中で身悶えている。