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吃貨美味探訪記 No.152(大馬編その12)「マレーシアで一番の大好物──Laksa(ラクサ)」

 前回のマレーシア編では大好物のアイスカチャンを取り上げたが、あれはいわばデザート。今回は、マレーシアの食べ物で一番の大好物、ラクサをご紹介する。味にややクセがあり、日本人にとっては好みが分かれるが、好きな人にとってはタマらない麺料理である。

食事というよりおやつのような感覚

 ラクサは、マレー語では「Laksa」、中国語では「叻沙」(広東語読みでレック サー)となる。このラクサ、大好物といいながら、マレーシアで最初に食べたのがいつだったのか、実はまったく覚えていない。おそらく1回目か2回目に訪れた時にイポーで食べているのではないかと思う。あれだけ個性的な味なのに、覚えていないのは不思議である。

 記憶に残っている最初のラクサは、マレーシア半島の北西部にあるペナン島の屋台で食べたもの。4回目のマレーシアの時である。街中をブラブラと歩いていた時、ラクサの屋台を見つけ、「あ、ラクサだ」と思ったので、それ以前にすでに食べたことがあったはずである。

 日本のかつお出汁とはまた違う、濃厚な魚の出汁(もし日本のなまり節で出汁を作ったらこんな感じになるのでは、という感じ)に、タマリンドの酸味と唐辛子の辛さが加わったスープ。それにミントなどのハーブ類がアクセントになっている。

 このラクサはアッサム・ラクサと呼ばれ(アッサムはタマリンドの意味)、ペナン島が本場らしいが、その他にも、ココナッツミルクを使ったシンガポールラクサやサラワクラクサなど、各地にご当地ラクサがあるようだ。ちなみに2015年に日清がシンガポール風ラクサのカップヌードルを出したが、残念ながら今は販売されていない。

 イポーで一般的に食べられているのは、ペナン島のものと同じくアッサム・ラクサである。

見た目だけでは想像のつかない味

ラクサの屋台で頼んだ具(これは数人分) 赤っぽい茶色のスープにミントの葉っぱが浮かび、米でできた麺に生のキュウリや玉ねぎが基本。これに他の具を自分で選ぶと、スープに入れられてきたり、別の皿で出てきたりする。

こういう屋台が地元の有名店だったりする イポーにいる時は、食事というよりおやつのような感覚で食べることが多い。午後の暑いなか、みんなで車に乗って、道端にある屋台に食べに行くのである。

 イポーにいる時はいつも何かしら食べていて、お腹が空くということがほとんどないので、1週間弱の滞在でも、たいてい1〜2キロは太って帰国することになる。
おまけカット1:イポーの郊外にあるケリーズ・キャッスル。20世紀初めにゴム園で成功したスコットランド人のウィリアム・ケリー・スミスという人が建てたお城の跡。完成前に館主本人が亡くなり、そのままに。館主の幽霊が出るというお話

おまけカット2:ケリーズ・キャッスルの建物の屋上から見た、マレーシアらしい風景。周囲にはゴムの木の農園が広がる

佐久間賢三
9年5か月に及ぶ中国滞在から帰国してきて早5年半以上。日本での生活をなんとか続けながらも、外国のあの刺激的な日々が恋しくなってきている今日この頃。世界的なコロナ禍の影響でしばらくは海外旅行に行けそうもなく、雑誌の海外旅行特集や昔の写真を見てウサを晴らそうとするも、かえってウップンが溜まるという悪循環の中で身悶えている。