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吃貨美味探訪記 No.155(日本編その46)「プリプリのエビが入ったワンタン麺──雲吞麵」

 香港には茶餐廳(広東語:ツァ ツァン テーン)と呼ばれる食堂が至る所にある。香港の庶民メシが食べられるところで、B級グルメの宝庫である。香港の隣、大陸側にある深圳にも、香港の影響を受けて茶餐廳スタイルの店がけっこうある。筆者が深圳に住んでいた時に茶餐廳でよく食べていたのが「鮮蝦雲呑麺」(中国語:シエン シァー ユン トゥン ミエン)。海老ワンタン麺のことで、本場の香港でぜひ食べてみたいものの一つである。それを今回、東京都内の香港料理を出す店で食べた。

ゴワゴワな麺が特徴的

 この海老ワンタン麺、深圳の店のメニューには確かに「鮮蝦雲呑麺」と書いてあったが(簡体字だったから、実際には「鲜虾云吞面」)、香港人に言わせると、香港のワンタンには必ず海老が入っているので、わざわざ「鮮蝦」などと言う必要はなく、「雲吞麵」(広東語:ワン タン ミーン)といえば海老ワンタン麺のことなのだそう。

 ピンポン玉ほどの大きさのワンタンの中には、プリプリの海老がたっぷり入っていて、スープはあっさり醤油味。ワンタンとともに特徴的なのが、ちょっとゴワゴワした硬さの麺で、この歯ごたえの麺は、日本ではなかなか味わえない。

 深圳であれほど好きだったのに、なぜ香港で食べたことがないのかというと、香港では物価が高く、どうせ深圳でも食べられるのだからということで食べなかったのである。今ではちょっと後悔している。

 というわけで、リベンジとまではいえないが、(おそらく)香港人が経営する店で今回食べた海老ワンタン麺がこちら。

ミニチャーハン付きランチセットで価格がちょっとお得な分、単品の海老ワンタン麺よりワンタンが1個少ない

本場と同じく、ワンタンには海老がたっぷり ワンタンとスープは、けっこういい線いっていたが、麺のほうが、あのゴワゴワ感があまりなく、口に入れた瞬間、ビーフンかと思ったほどだったのが、ちょっとだけ残念だった。だが、総合的には満足のいく味だった。

 そういえば、4か月前のマレーシア編「え?これがワンタン麺?──乾撈雲吞麵」でマレーシアのワンタン麺を取り上げた時、中国語のピンイン打ちで出てくる雲吞(yuntun)の「吞」の漢字と、日本語のローマ字打ちで「wantan」と打って出てくる雲呑の「呑」が微妙に違う点について、「宿題として後日調べておくことにする」と書いたが、まだ調べていない。やはり宿題というのは、やりたくないものである(と言い訳しておく)。

 次に中国に行くとしたら深圳と決めているので、その際に足を伸ばして香港まで行き、本場の海老ワンタン麺、いや、雲吞麵をぜひ食べたいものである。
おまけカット。10年ほど前に撮った香港の屋外食堂。写真上に見える風景からして、おそらく香港島の中環(セントラル)にあるヒルサイド・エスカレーターのあたり

佐久間賢三
9年5か月に及ぶ中国滞在から帰国してきて早5年半以上。日本での生活をなんとか続けながらも、外国のあの刺激的な日々が恋しくなってきている今日この頃。世界的なコロナ禍の影響でしばらくは海外旅行に行けそうもなく、雑誌の海外旅行特集や昔の写真を見てウサを晴らそうとするも、かえってウップンが溜まるという悪循環の中で身悶えている。