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吃貨美味探訪記 No.158(大馬編その15)「カレーとの相性が抜群なインド由来の薄いパン──Roti canai(ロティ・チャナイ)

 今回は、マレーシア編が始まってから初めてのインド系の食べ物となる。以前にも触れたが、マレーシアは多民族国家で、人口の1割弱はインド系である。そのため、マレーシアにはインド系の料理も多くあり、その一つが、今回取り上げるロティ・チャナイである。

ムスリム系インド人によってもたらされたパン

 筆者のマレーシアでの知り合いは中華系の人たちなので、彼らと一緒にいる時に食べるものの多くは、中華系である。しかも、彼らが住むイポーという場所は中華系が人口の7割を占めるということもあり、食べ物屋もそれに合わせて中華系が多いということもある。思い返してみれば、イポーでマレー系やインド系の飲食店に入った記憶がほとんどない(1回だけ朝食のナシルマッをインド系の店で食べたのみ)。

 というわけで、マレーシアでインド系料理を食べた唯一の思い出は、クアラルンプール国際空港からイポーに直接向かわず、その前にクアラルンプール郊外に住む知り合いの家に寄った際に食べたロティ・チャナイである。この食べ物は、マレーシアにやって来たムスリム(イスラム教徒)のインド人によりもたらされたとされている。

 ロティはインドの言葉やマレー語でパンという意味だが、生地は薄く、鉄板の上で焼いて造るので、パンというよりもクレープのようなものといったほうが正しいかもしれない。そしてチャナイのほうの意味は、ウィキペディアによると、インドの都市であるチェンナイから名付けられたとか、チャンナという北インド地方の食べ物から来ているとか、諸説あるようである。

 というわけで、クアラルンプール郊外の店で食べたロティ・チャナイがこれである。

プレートの脇にあるのは、コンデンスミルクを使ったミルクティのテー・タリック(Teh tarik)。これもムスリム系インド人がもたらしたとされている

 金属プレートの上に、スープ状のカレーが3種類。それぞれのカレーがどんな味だったかまでは覚えていないが、辛かったという記憶はないので、万人向けのマイルドな味付けだったのだと思う。

 このロティ・チャナイは四角形だが、円形のもののほうが多いようだ。丸めた小麦粉の生地を薄く伸ばしたら、それをクシャクシャッと軽くまとめて、それをつぶして円形にする。それを鉄板の上で焼くのである。

 この時食べた四角いロティ・チャナイのほうはまた別の作り方で、以下のようにして作っていく。

円形の薄い生地をヒラヒラと空中で回しながらテーブルの上に軽く叩きつけていくたびに、生地が大きくなっていく。最後は軽く折りたたんで出来上がり。これを鉄板の上で焼く

 これだけでは物足りなければ、マレーシアの朝食の定番でインド系料理店でも置いてあるナシルマッを追加で頼むのもいい。

イポーのインド系レストランで食べたナシルマッ。ちょっぴりカレー付き。インド系の飲食店では、ミルクコーヒーのコピではなく、やはりテー・タリックを飲むことが多いようだ

 ロティ・チャナイ以外、マレーシアではインド系の料理を食べたことがないので、次回イポーに行った際には、インド料理店に連れていってくれるよう、知り合いに頼んでみるつもりである。
おまけカット。えんどう豆の親玉みたいなこれは、中国語で臭豆(チョウ ドウ)。中の豆を炒めものに使うことが多く、名前ほど臭くはないが、食べた翌日の○便が臭くなるという

佐久間賢三
9年5か月に及ぶ中国滞在から帰国してきて早5年半以上。日本での生活をなんとか続けながらも、外国のあの刺激的な日々が恋しくなってきている今日この頃。世界的なコロナ禍の影響でしばらくは海外旅行に行けそうもなく、雑誌の海外旅行特集や昔の写真を見てウサを晴らそうとするも、かえってウップンが溜まるという悪循環の中で身悶えている。