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吃貨美味探訪記 No.160(マレーシア編その16)「見た目も味も奇妙で、日本人にとって好みが分かれる──Rojak(ロージャッ)」

 今回は、初めて食べた時には、見た目と味の奇妙さに「なんじゃこれ?」と思った食べ物、Rojak(ロージャッ)である。マレーシアではおやつや食事のサラダ代わりによく食べるようで、イポーに行く度に食べることになる。ちなみに今回から、分かりにくい「大馬編」ではなく、素直に「マレーシア編」とすることにした。

奇妙な味の正体は、東南アジアではお馴染みのあの調味料

 ロージャッは日本人にとっては好みが分かれる味で、どちらかというと日本人好みではない部類に入る。決してマズいわけではないのだが、見た目はともかく味が奇妙で、甘くてスパイシーで辛く、しかも妙な風味がするのである。今回は前置きを短く、さっそく見てもらうことにしよう。これがロージャッである。

写真を見ても、いったいどんな食べ物なのか、まったく分からない

 マレー語で「いろいろなものを混ぜる」という意味を持つロージャッは、果物や野菜などをスライスして、そこに真っ黒なタレを和えた食べ物である。上には砕いたピーナッツがまぶされている。そこそこのボリュームなので、何人かで一緒に食べられるよう、串は数本刺されて出てくる。

 果物や野菜は特に変わったものではなく、まだ熟していない青いマンゴーやパイナップル、青りんご、キュウリなど。それに加えて、揚げた湯葉や油条(中華風揚げパン)などが入っていることもある。

どこで食べてもだいたい見た目は同じである。左上の写真に見える薄く平べったいものが湯葉を揚げたもの、右下の写真には細かく切った油条が見える

ロージャッは中国語では囉吔(簡体字では啰吔)、囉雜、羅喏などと書く。屋台やフードコートで食べることができる いたって普通の食材だが、奇妙な味の正体は、この黒く粘り気のあるタレである。これには、エビを発酵させて作るペーストや、甘めの醤油、砂糖、唐辛子、ライム、タマリンドなどが入っている。日本人にとって奇妙な味に感じるのは、エビのペーストが原因である。東南アジアの国ではお馴染みの調味料だが、日本にはない独特の風味がある。

 もともとはインドネシアのジャワ島発祥の食べ物だそうで、それがインドネシア各地、そして隣のシンガポールやマレーシアに伝わったのだという。また、各地で和える食材が異なり、イカや揚げたエビ、ゆで卵を入れるところもあるようだ。

 最初はそれほど好きな食べ物ではなかったが、イポーに行く度に食べることになり、そのうちに慣れてきて、美味しく感じるようになった。午後のおやつに食べることが多かったが、夕方の食事で外食する時にも出てくる。

 以前にも取り上げたドリアンやアッサム・ラクサと同様、味にクセがあり、日本人の間では好きな人は大好き、そうでない人は何が美味いのかさっぱり分からないというロージャッ。おそらく日本のマレーシア料理レストランで、これを出しているところはないだろう。早く現地に食べに行きたいものである。
おまけカット。イポーの旧市街にあるイポー駅(現在の駅舎は1917年の建設)。クアラルンプールのKLセントラル駅から特急列車で2時間半ほど

佐久間賢三
9年5か月に及ぶ中国滞在から帰国してきて早5年半以上。日本での生活をなんとか続けながらも、外国のあの刺激的な日々が恋しくなってきている今日この頃。世界的なコロナ禍の影響でしばらくは海外旅行に行けそうもなく、雑誌の海外旅行特集や昔の写真を見てウサを晴らそうとするも、かえってウップンが溜まるという悪循環の中で身悶えている。