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吃貨美味探訪記 No.168(マレーシア編その20)「親戚大勢が集まってワイワイと──家庭料理」

 これまで、マレーシアのイポーを訪れた際に、現地の知り合いの人に連れて行ってもらって食べたものをご紹介してきたが、いつも外で食べているわけではない。時には親戚の人たちが家に集まってきて、一緒に食卓を囲むこともある。そんな時に食べるものは――。

おかずを自分で取る必要なし

 いつも訪れているイポーの一家は大家族である。おじさん・おばさん世代が7人いて、それぞれの夫婦に2〜4人の子供、つまり“いとこ”世代が24人いて、その下に“はとこ”世代が33人いる(数え間違えていなければ)。さらに、今では“はとこ”世代の中の一番年上の二人にそれぞれ子供が一人ずついる。そして、結婚した人たちの配偶者も加えれば、4世代、総勢約90人となる。筆者はこの一族の人たちと血縁も縁戚関係もないが、“いとこ”世代の一人と見なしていただいている。

 親戚の人たちの多くは、今ではイポーを離れて、首都のクアラルンプールやシンガポールなどの違う都市や国に住んでおり、イポーに住んでいるのは半分弱だが、なにかあると、そして何か特別なことがなくても、しょっちゅうイポーに帰ってきて、親戚同士で集まってご飯を食べたりしている。

 特に結婚式や旧正月ともなると、大勢の親戚たちがイポーに戻ってくるので、集まる人数はさらに多くなる。筆者がイポーを訪れるのは結婚式の時が多く、いろいろな人が筆者を遊びやご飯に連れていってくれる。

 しかし時には、誰かの家に集まってご飯を食べることもある(さすがに親戚全員ではないが)。ある時に食べたのが、これである。

さすがに全員がテーブルにつけないので、順番に食べていく

 外で買ってきたもの(ローストダック)もあるが、あとは手作り。つまりはマレーシア華人の家庭料理である。いくつかの丼に入った茶色いものはスープだ。

 筆者も呼ばれてテーブルにつくと、大皿にご飯がごっそり盛られている。目の前にある料理を取って食べようとすると、脇にいる親戚がいくつかの料理を取って皿に乗せてくれる。それが食べ終えるか終えないうちに、別の親戚が別の料理を皿に乗せてくれる。それが延々と続き、結局、自分で料理を取ることなく、お腹いっぱいになって「ごちそうさま」となった。

 珍しく次の夜も家で晩ご飯。今度はいろいろな具材を電気鍋に入れ込んだ、日本でいうところの寄せ鍋である。

あっさりした味わいのスープなので、誰でも食べやすい

大人数で食べるので、具がなくなったらどんどん継ぎ足していく こちらも自分で具材をよそう必要がなかった。親戚の人が小皿にどんどん具を入れてくれる。こちらはただひたすら食べるのみ。ここでもやはり、お腹いっぱいになるまで食べることになる。

台所に置いてあったジャックフルーツ 食べている最中は彼らの言葉である広東語が飛び交い、筆者には華語(標準中国語をマレーシア華人の間ではこのように呼ぶようだ)で話しかけてくる。広東語は聞いてもワケが分からないことがほとんどだが、時には聞き取れる部分もある。イポーにはまだしばらく行けそうにないが、次に行く時は、ぜひ広東語で会話に参加してみたいと思っている(現在勉強中)。
おまけカット。インド系の人たちが、ヒンズー教寺院の前で山車の飾り付けをしているところ

佐久間賢三
9年5か月に及ぶ中国滞在から帰国してきて早5年半以上。日本での生活をなんとか続けながらも、外国のあの刺激的な日々が恋しくなってきている今日この頃。世界的なコロナ禍の影響でしばらくは海外旅行に行けそうもなく、雑誌の海外旅行特集や昔の写真を見てウサを晴らそうとするも、かえってウップンが溜まるという悪循環の中で身悶えている。