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吃貨美味探訪記 No.171(日本編その54)「あの有名火鍋チェーンの火鍋がカップ入りインスタント食品に──自煮火鍋套餐」

 先々月の3月の日本編で中国のインスタントラーメンを取り上げた際、袋入りインスタントラーメンを買うために行った中国食品販売店で、偶然目についたものがあった。日本でも有名な有名火鍋チェーンの、カップ入り火鍋である。今回はそれをご紹介する。

電気も火も不要で熱々の火鍋が

 そのカップ入り火鍋は、池袋駅北口の近くにある中国食品販売店で、レジ脇の棚に無造作に積まれていた。パッケージには、日本にも進出しているあの有名火鍋チェーンの名前が書いてあり、ピリ辛野菜とビーフトマトの2種類があった。

 どちらにするか迷ったが、火鍋を食べるならやっぱり麻辣味だろうということで、おそらくそちらに近い味であろうピリ辛野菜を手に取った。大きさは、日本の大盛りサイズのカップ麺をさらに一回り大きくしたくらい。一つ、なんと1180円(税込み)もした。それがこれである。

宣伝ではないので、製品名というか店名は一応モザイクにしたが、容易に想像はつくと思う

 パッケージには日本語が。というか、全て日本語。中国でよく見られるような“なんちゃって日本語”ではなく、ちゃんとした日本語。裏面の商品説明を見ると、各具材は日本国内の工場でパッケージされているという。

 しかも、お湯を入れて5分待つ、みたいなものを予想していたのだが、「火や電気がなくても、水だけでオッケー」だと書かれている。

 黒い容器はフタ付きで、開けると中に白いトレーがあり、そこに袋詰めされた具材が入っていた。白いトレーの下にも具材の袋が入っており、さらには箸とスプーンまで入っていた。袋は野菜パックが2つと、春雨、そして鍋のスープの素。

 それらをすべて取り出し、袋詰めされた具材を白いトレーの中に入れていく。スープの素(写真右上)の匂いがわずかに漂ってきて、食欲をそそる。野菜パックに入っているのは、タケノコ、レンコン、とうもろこし、じゃがいも、きくらげの5種類。全部入れたら、内側の線まで水を入れる。これで鍋の部分は出来上がり(写真は水を加える前のもの)。

 次に、黒い容器の中に水を内側の線まで入れ(意外に入れる水は少ない)、そこに使い捨てカイロのような白い発熱剤の袋を入れる。こんなんで温められるのか?と思っていたら、30秒もしないうちにシュワシュワシュワと音がしてきて、発熱剤の周りから湯気が出てきた。こういう発熱剤を使うのは初めてだったので、少し驚いた。

 慌てて白いトレーを黒い容器の上にセットしてフタをすると、待つこと15分。出来上がったのがこちらである。

珍しく、見た目がパッケージの写真とそれほど変わらない

白いトレーの底は深くないので、量はそれほどでもない 思っていた以上に熱々。食べてみると、レンコンはけっこうシャキシャキだし、とうもこしのぶつ切りが、いかにも中国の火鍋の具っぽくて良い。肝心の味のほうも、想像していたよりも本格的な麻辣味で、花椒もしっかり効いている。激辛というほどではないが、辛いものが苦手な人には、ちょっと厳しいかもしれない。

 これは意外にイケる。最近たまに見かけるようになった日本製なんちゃって麻辣味とは、モノが違う。春雨が入っているから、具の多いカップ麺的な感じである。これだけでは量的にやや物足りなければ、調理済みの具材を加えてもいいかもしれない。特に肉類が入っていないのが寂しかったので、下茹でした肉や、もっと手軽にソーセージやハムを入れてもいいかもしれない。

 後でネットで調べてみたら、ピリ辛野菜、ビーフトマトの他に、マーラービーフ(麻辣牛肉)というのもあった。どうやらこちらは牛肉入りのようである。次はこれを食べてみたいと思ったが、インスタントで1食1000円超えはちょっと高い。

 と思っていたら、後日、池袋駅東口のド○キの食品売場に行ったところ、場所柄なのかどうか分からないが、中国食品コーナーがあり、そこにこれがあった。値段はなんと1000円以下。それでも高いが、中国食品販売店で1000円超えで買ったので、軽いショックを受けた。

 実はこの火鍋チェーンの店には一回も行ったことがないので、本物の火鍋の味とどう違うのかは比べられないのだが、家で手軽に一人で火鍋を楽しめるという点では、悪くないと思う。
おまけカット。中国の深圳で食べた麻辣火鍋。麻辣火鍋で鴛鴦(麻辣スープと辛くないスープ)は邪道だと思うのだが、実際は麻辣スープが辛すぎていつまでも食べていられず、後のほうは辛くないスープばかりで食べていることも多かった

佐久間賢三
9年5か月に及ぶ中国滞在から帰国してきて早5年半以上。日本での生活をなんとか続けながらも、外国のあの刺激的な日々が恋しくなってきている今日この頃。世界的なコロナ禍の影響でしばらくは海外旅行に行けそうもなく、雑誌の海外旅行特集や昔の写真を見てウサを晴らそうとするも、かえってウップンが溜まるという悪循環の中で身悶えている。