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吃貨美味探訪記 No.172(マレーシア編その22)「“太平”という名前の街で食べる海の幸──海鮮料理」

 マレーシアという国は、主にマレー半島の南側とボルネオ島の北側の2つからなっている。首都のクアラルンプールがあるのはマレー半島で、イポーはクアラルンプールから北北西に約180kmのところにある。ある時、そのイポーからさらに北西に50km行ったところにあるタイピンという街に行った。そこで食べた料理を今回はご紹介する。

営業仕事を終えた後、郊外の漁村にあるレストランへ

 マレーシアのマレー半島側は、タイとの国境がある北側を除いた三方を海に囲まれている。そのため、当然のことながら海鮮料理もあるのだが、島国で育った日本人の目から見ると、それほど豊富にあるようには見えない。

 とはいえ、海のそばの街に行けば漁港もあり、新鮮な海鮮を使った料理を味わうことができる。

 ある時、マレーシアの友人の仕事に付き合い、車でタイピンという街まで行った。ここもイポーと同様、中華色の濃い街で、そもそもタイピンという名前は、中国語の「太平」から来ているのだという。友人が営業で回った店も、すべて中華系の人たちが経営していた。

 営業仕事がようやく終わった時には、昼食時間はとっくに過ぎていた。普段なら、その辺の店で簡単な昼食を食べてイポーに戻るところなのだろうが、その時は筆者が一緒だったということもあり、郊外の漁村にある海鮮料理店に連れていってくれた。

レストランのテラスから撮った風景。漁村といっても、小さな島と川が入り組んだところにあり、海に来た!という感じはしない

 オーダーは当然、友人にお任せ。というわけで、出てきた料理をご紹介しよう。まずはこれ。

2021年10月16日の当コラムに掲載した臭豆の写真 豆と玉ねぎの炒め物。海鮮は入っていないが、海鮮ばかりだと野菜っけが足りないので、こういった料理は必須である。そら豆みたいなものは、臭豆(チョウ ドウ)といって、マレーシアではよく炒め物に使われている。やや臭みはあるものの、名前ほど臭くはなく、マレーシアの友人曰く、食べた翌日の便が臭くなるのだという。

 お次は茹でた(または蒸した?)貝。この貝は見た目から判断するに、おそらくハイガイで、中国語では「血蛤」(シュエ ガー)などと呼ばれ、潮州料理でよく見かける。

 ただ、調理してあるのに貝の口が開いていない。「口が開いてない貝は食べるな」と幼い頃から教えられてきた日本人にとって、食べるのにはちょっと勇気が必要だったが、郷に入れば郷に従え。結局、パクパク食べた。その後、お腹の調子も問題なかったので、こちらの貝はそう簡単には口を開かないのだろう。で、味は覚えていない……。パクパク食べたのだから、味は悪くなかったのだと思う。

 そして、メインディッシュともいえる2品がこちらである。

 イカリングのフライに、エビの炒め物。エビは甘辛い味付けで、指まで舐めたくなる旨さ。これらの料理を二人であっという間に平らげた。写真の撮影データを見ると午後1時半。よっぽどお腹が空いていたのだろう。

 コロナの状態も落ち着きつつあり、マレーシアから結婚式のご招待が来た。行けるかどうかはその時のコロナ状況にもよるのだが、行くとしたら3年ぶりになる。まだ数か月先のことだが、もう今からワクワクしている。
タイピンの町並み

佐久間賢三
9年5か月に及ぶ中国滞在から帰国してきて早5年半以上。日本での生活をなんとか続けながらも、外国のあの刺激的な日々が恋しくなってきている今日この頃。世界的なコロナ禍の影響でしばらくは海外旅行に行けそうもなく、雑誌の海外旅行特集や昔の写真を見てウサを晴らそうとするも、かえってウップンが溜まるという悪循環の中で身悶えている。