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吃貨美味探訪記 No.177(日本編その57)「おやつとして食べる豆腐の小吃──豆腐花」

 先日、都内で用事があり、その帰りに昼食がてら久しぶりにアメ横へ。お目当てはもちろん、中国の小吃が食べられる屋台のような店である。店に掲げられている料理の写真と名前を見ながら、これまでここで食べたことのないものを探した。そうして見つけたのが、豆腐花(ドウ フ フア)だった。

塩味系も甘い系も辛い系もあり

 豆腐花は、豆乳を豆腐のように固めた食べ物で、豆腐よりは柔らかく、そこにタレをかけていただく中国の小吃である。とりあえず「豆腐花」と書いたが、中国の地方によっていろいろな名前で呼ばれており、「豆腐脳」(ドウ フ ナオ)や「豆花」(ドウ フア)という表記もよく見かける(その他、地方によっていくつかある)。

 この豆腐花、中国に住んでいた頃、よく見かける食べ物であったにもかかわらず、どうせ豆腐だしなあと、記憶に残っているかぎりでは一回しか食べたことがない。それがこれである。

 四川省の成都に住んでいた頃のことで、地元で人気の店があると知り、わざわざ市バスに乗って食べに行ったのだ。その日は日曜日ということもあり、昼間の時間帯で店内は客でいっぱい。

 食べたのは牛肉豆花で、9年前の値段が5.5元(当時のレートで83円、現在のレートで110円)。四川省らしく、赤いタレが見るからに辛そうで、その見た目どおり、味は麻辣。おやつとして食べるものなので量はそれほどでもないものの、汗をかきながら食べた。

 というわけで、アメ横で食べた豆腐花がこちらである。湯豆腐のように熱々で出てくる。

 スーパーで売っている普通の絹ごし豆腐を適当に崩して使っているような感じもしたが、そこらへんは確かではない。ややとろみのあるタレは醤油ベースで、豆腐そのものが味が薄いので、タレの味も薄めで、ツルツルっと喉越し良くお腹に収まっていく。ちなみに、お椀の右側に見えるのは紫菜(ツー ツァイ)、つまりノリである。

 食べている時、テーブルの下にあった写真入りメニューを見ると、豆腐花の横に「甜豆花」(ティエン ドウ フア)というのがあった。こちらは甘い豆腐花である。写真だとよく分からないのだが、黒いのはアンコだろうか?

 甘い豆腐花は、マレーシアとベトナムで食べたことがある。どちらも生姜汁を使っていて、しかも豆腐も温かい(熱くはない)。マレーシアで食べた豆腐花については、後日、マレーシア編で取り上げようと思っている。

 さて次回の日本編は、アメ横で豆腐花と一緒に食べた、日本でもお馴染みだけど、日本のものとはちょっと違う小吃をご紹介する。
 

佐久間賢三
9年5か月に及ぶ中国滞在から帰国してきて早5年半以上。日本での生活をなんとか続けながらも、外国のあの刺激的な日々が恋しくなってきている今日この頃。世界的なコロナ禍の影響でしばらくは海外旅行に行けそうもなく、雑誌の海外旅行特集や昔の写真を見てウサを晴らそうとするも、かえってウップンが溜まるという悪循環の中で身悶えている。