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吃貨美味探訪記 No.186(マレーシア編その29)「マレーシア食い倒れ旅3:イポーの特産品を使った名物料理──芽菜鶏(もやしチキン)」

 マレーシア・イポー1日目の夕食は、イポー名物の「芽菜鶏」(もやしチキン)。イポーに来る観光客のほとんどは、市街地にある芽菜鶏の有名店で食べるが、こちらは地元民と一緒なので、いつもどおり、屋台が集まる食堂でいただいた。

別々に食べるべきか、一緒に食べるべきか

「芽菜鶏」(広東語:アー ツォイ ガイ)の芽菜は「もやし」の意味。マレー語では「tauge ayam」(タウゲ アヤム)といい、こちらもtaugeが「もやし」で、ayamが「鶏」となる。

 と、ここまで書いて今になって気づいたのだが、マレー語は基本的に被修飾語+修飾語の並び。例えばチャーハンの「nasi goreng」(ナシ ゴレン)も、nasiが「ご飯」で、gorengが「油で揚げる」である。なので「tauge ayam」を日本語にすると「チキンもやし」となるはず。つまり、この料理は鶏肉が主役ではなく、もやしが主役なのだろうか?

 実は、もやしはイポーの特産品。カルスト地形の石灰岩で濾過された水はミネラル分が豊富で、それで育ったもやしは美味しくなるのだという。なので、この料理の主役がもやしというのも、あながち間違いではないのかもしれない。

 というわけで、この夜、食べた芽菜鶏がこれである。

 茹でたチキンともやし、それにご飯の3点セット。ご飯に少し色がついているのは、鶏肉の茹で汁で炊いたからだろうか。小皿に入っているのは生姜のタレとチリソースで、チキンにつけて食べる。

 以前にもイポーで芽菜鶏を食べたことがあるかもしれないが、記憶にない。イポー名物だと知ったのはだいぶたってからだったので、もしかしたら、出されるままに、料理の名前も知らずに食べていたかもしれない。なので、芽菜鶏だと意識して食べたのは、少なくとも今回が初めてである。

 しょうゆベースの甘めのタレがかかった鶏肉は柔らかくジューシー。上に乗っているのはパクチー。中国もそうだが、こういった鶏肉丸ごとを調理する料理は一般的に骨を取らないので、骨ごとぶった切って出てくる。慣れないと食べにくいが、骨が付いているのは肉の一部分だけなので、慣れればなんていうことはない。

 生姜のタレとチリソースは、生姜のタレをメインにつけて、チリソースはときどき味に変化をつけるために使った。そちらのほうが鶏肉の味をしっかり味わえると思ったからである。

今回食べた芽菜鶏を作っている屋台 そしてこちらが、もやし。イポーのもやしだけなのか、マレーシア全体のもやしがそうなのかは分からないが、日本のものに比べて太くて短い。シャキシャキしていて歯応えもいい。ご飯もけっこうな量があるので、食べ終わるとお腹いっぱい。

 ところで、冒頭に「イポーに来る観光客のほとんどは、市街地にある有名店で食べる」と書いたが、その有名店というのが右の写真の店である。いつ行っても観光客でいっぱいだそうだが、現地の知り合いに聞くと、有名になってからは大量の観光客をさばくために味が落ちたという。

この店の交差点をはさんだ斜め向かいに、別の有名店がある すぐ近くにもう一軒、別の有名店もあるそうだが、こちらも老黄よりは少しマシといった程度で、やはり味はそれほどでもないという(あくまでも知り合いから聞いた個人的感想)。それよりも、とある住宅街にある芽菜鶏の店が、地元の人たちの間で一番評判がいいとか。

 ところでこの料理、チキンともやしが別々の皿に盛られてくるが、もやしチキンという以上、チキンともやしを一緒に食べるべきなのだろうか。次回行った時に、現地の人たちに評判の店に連れていってもらって、その味とともに、地元の人たちの食べ方を確認したいと思っている。

 晩ご飯を食べたあと、市内にある道教のお寺で、旧暦の9月1日から9日まで行なわれる九皇大帝の生誕を祝うお祭りに(下の写真)。九皇大帝は台湾や東南アジアの華人・華僑たちを中心に信仰されている9人の神様のこと。この日は最終日で、しかも雨模様だったため、人が少なかったが、舞台では粤劇(広東オペラ)も行なわれていた。

佐久間賢三
9年5か月に及ぶ中国滞在から帰国してきて早5年半以上。日本での生活をなんとか続けながらも、外国のあの刺激的な日々が恋しくなってきている今日この頃。コロナ禍の影響で3年間、海外に行くことができなかったが、ようやくマレーシアに行くことができ、次はどこに行こうかとあれこれ考える日々を送る。