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吃貨美味探訪記 No.192(マレーシア編その32)「マレーシア食い倒れ旅6:朝から食欲を全開にしてくれる──板麺」

 マレーシア・イポーの3日目。この日は、果樹園と観賞植物店を経営するおじさん夫婦に、キャメロン・ハイランドまで草花の仕入れに連れていってもらうことに。朝、出発する前に食堂に行って食べたのは「板麺」。これがまた、朝から大満足の一品だった。

麺の作り方がそのまま名前に

 住宅街の一角に小さな商店街があり、今回はそこにある食堂に行った。おそらく初めて行く店である(まあ、たいていの店は行くのが初めてなのだが)。そしていつもどおり、何を食べるかはお任せで待っていると、出てきたのがこれだった。

こちらは別オーダーの「釀豆腐」(ヨン ダウ フ)。前回のマレーシア編でもご紹介したが、唐辛子のような細いパプリカの肉詰めと厚揚げ豆腐のようなもの

今回食べた板麺の屋台。1杯6.3リンギット(約190円) 澄んだスープはあっさり味で、麺はモチモチ、上に乗ったイカン・ビリス(ikan bilis イワシの稚魚の乾物)の揚げたのも、香ばしくて良い。これだけでは量的にやや物足りないが、別に頼んだ釀豆腐が、それを補ってくれた。

 この板麺について調べてみると、マレーシアやシンガポールの食堂ではお馴染みの麺料理で、もともとは客家料理の伝統的な麺食の一つだったという。その昔は機械などなく、練った麺の生地をガラス瓶などで平らに伸ばして板状にして、それを包丁で麺状に切っていたことから、客家語で「刀嬤切(または刀麻切)」(ダオ マー チェッ)と呼んでいたとのこと(刀麻は客家語で包丁)。ところがマレーシアでは、刀嬤切では広東人に通じないことを心配して、「板麺」と名付けたのだそう。

 板麺は広東語で「バーン ミン」、華語(標準中国語)では「バン ミェン」と読むが、アルファベット表記では「Pan mee」と福建語の読み方で書かれていたので、もしかしたら現地の広東人も、板麺を頼む時は「パン ミー」と呼んでいるかもしれない。

 能書きはともかく、クセのないあっさり味のスープと、モチモチの麺、それに揚げたイカン・ビリスの香ばしさが、朝から食欲を全開にしてくれる。これもまたもう一度食べたい料理だが、いつもオーダーはお任せなので、次回行った時に食べられるかどうかも運任せである。

キャメロン・ハイランドに向かう間の水分補給としてココナッツ水。味がないようであるのが良い 食事を終えると車で観賞植物店まで行き、そこで中型トラックに乗り換えて、キャメロン・ハイランドへと向かった。その時の話は次回のマレーシア編でお伝えするが、下に、その時にいくつかの卸売店で見た、草花の写真(のほんの一部)を掲載しておく。

イポーから車で1時間ほどのところにあるキャメロン・ハイランドの茶畑。ハイランドの名のとおり高地にあるので涼しく、避暑地や観光地となっている

佐久間賢三
9年5か月に及ぶ中国滞在から帰国してきて早5年半以上。日本での生活をなんとか続けながらも、外国のあの刺激的な日々が恋しくなってきている今日この頃。コロナ禍の影響で3年間、海外に行くことができなかったが、ようやくマレーシアに行くことができ、次はどこに行こうかとあれこれ考える日々を送る。