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吃貨美味探訪記 No.194(マレーシア編その33)「マレーシア食い倒れ旅7:花より団子ならぬ、団子より花──18年ぶりに再会した“踊る女性”」

 前回からだいぶ時間がたってしまったが、今回はマレーシア食い倒れ旅の3日目である。この日は、果樹園と観賞植物店を経営するおじさん夫婦に草花の仕入れに連れていってもらった。まずは食堂に行って朝食を食べ(ここまでが前回)、果樹園に行って中型トラックに乗り換えると、草花の卸売店があるキャメロン・ハイランドへと向かった。

ゆっくり昼食を食べる暇もなく仕入先を回る

 キャメロン・ハイランドは、イポーから東南東に直線距離で40kmのところにある高原地帯で、一番高いところで標高が1500m以上ある。そのため、気温が年間を通じて20度前後で、熱帯にあるマレーシアの避暑地のような高原リゾートとなっている。

キャメロン・ハイランドに広がる茶畑。ボーティー(Boh Tea)という紅茶が有名

 そんなわけで、低地のイポーから向かう道は所々でつづら折りの坂道になっている。そんな道をトラックで走っていき、頂上付近までたどり着くと、あちこちにある草花の卸売店を回っていく。

 6〜7軒の仕入先を回り、買い入れるたびにトラックの荷台に載せていく。高い幌で荷台を上下二段にしてあったが、それでも最後の店を出た時には、幌の中は買い入れた草花でいっぱいになっていた。それでも、一回の仕入れで買い入れた草花は1週間で全部売り切ってしまうため、この仕入れを毎週やっているとか。

仕入先の卸売店で見た、いろいろな種類のラン(植物には詳しくないので、もしかしたらラン以外の花が入っているかも)

 あちこちを回って仕入れに行っている間、昼食の時間はなし。それぞれの仕入先は離れていて、のんびりご飯など食べていたら、営業時間内に周りきれないからだろう。途中の売店で買って車中で食べた、菓子パンと飲み物が昼食となった。

 このコラムの本題である食べ物とは関係がないが、この日のハイライトは、花の仕入先でランの一種「ダンシング・レディー」をようやく見られたこと。それがこれである。その名のとおり、まさにダンシング・レディー。今回のメインは食べ物ではなく、団子より花というわけで、この花である。

 これは、18年前にイポーに来た時に、このおじさん夫婦の観賞植物店で初めて見て、うおー、こんな花があるなんて!と驚いた花。その後、イポーに来る度に店でこの花を探したのだけど、あれから店で見ることはなく、それから18年たって、ようやくまた見られたのである。この時の仕入れでも、おじさん夫婦はこの花を仕入れることはなかった。現地では人気がないのだろうか……。

 そして花の仕入れが終わり、つづら折りの山道を下り終えると、あとはイポーまで一直線。あたりはすっかり暗くなっており、イポーに戻る前にレストランに入り、ようやく晩飯となった。

素揚げした魚の甘酢がけ香味野菜添え。おそらく魚は淡水魚のティラピア

塩漬けの魚と豚バラ肉を炒めて煮込んだ鹹魚花腩煲(ハーム ユー ファー ナーム ボウ)。濃いめの味付けでご飯がすすむ

日本の味とも四川の味とも違う、マレーシア風の麻婆豆腐

チンゲン菜に似た奶白菜(ナーイ バーッ ツォイ)という青菜の炒めもの。奶白菜は中国南部原産

この日食べたレストラン。南国マレーシアらしく、店内はオープンエア

 おそらく、おじさん夫婦だけで仕入れに来た時の晩飯は、もっと質素なものなのだろう。この時は筆者が一緒だったということで、ちょっと豪華な食事にしてくれたのだと思う。

 さてこの翌日、クアラルンプールで行われる親戚の女の子の結婚式のために、みんなで車に乗って向かったのだが、問題は首筋。前日のキャメロン・ハイランドでのつづら折りで、頭を前後左右に揺さぶられ続けた結果、クアラルンプールに到着した頃には、見事に筋肉痛というか、ひどい肩コリのような状態になってしまっていた。
イポー市内から向かって戻るまでの今回の道程(グーグルマップより)。赤線で囲まれて色が薄いエリアがキャメロン・ハイランド。地図の中央下の小さな赤丸あたりで晩飯を食べた

佐久間賢三
仕事が忙しいわけでもないのに、出張以外にどこにも遊びに行かない日々。来年の旧正月にマレーシアに行く飛行機の予約を早々に取り、今からワクワクしている。