中国美味紀行(四川編)―その4「燃麺」

前回、ウサギ干鍋を食べたところで話をちょっとはしょっていた。実はその前に、麻雀を打っていた。ウサギ干鍋の店に行ったらちょうど休憩時間で、開店するまで1時間くらい待たねばならなかったのだ。

というわけで、食堂のすぐ近くにあった雀荘に行った。雀荘といってもプレハブ小屋のようなところだったが、ちゃんと全自動卓が置いてあった。四川人と麻雀は切っても切れない関係にあるらしく、暇さえあればみんな(特にジジババ)すぐさま卓を囲むらしい。

日本とは全然違う麻雀のルール

麻雀といえば、言わずと知れた中国生まれのゲームだが、日本の麻雀でもローカルルールがあるように、中国でも地方によってルールが大きく変わる。牌が日本のものよりデカいのは中国共通だが、四川麻雀は字牌は使わず数字牌のみ。しかも、和了る形は絶一門のみ、つまり、3種類のうちの一つは捨てて、2種類だけを組み合わせて和了る。

ドラはなく、一人が和了ってもゲームは続き、3人が和了るか牌がなくなるまで続く。点数の計算の仕方は……よく分からない。暗刻が多いほどよい。カンはもっとよい。清一色だと8飜がつく。

この清一色は、欲張って7ソーをカンしたために、結局和了れなかったで、四川の中にある自貢の麻雀は、絶一門は絶一門だけど、もっと潔く、萬子が最初からなく、使うのはピンズとソーズのみ。しかも3人麻雀。ドラはナシ。

1時間ほど打って、結果は日本円にして200円ほどの勝ちw。レートが可愛い麻雀でした。

晩飯のデザートには……

ウサギ干鍋を食べてから、車で宜賓に帰還。それから一休みして夜になると、今度は晩ご飯。まだ全然お腹が空いてないんですけど……。

宜賓の旧市街の中心にある大観楼。宜賓のシンボル的存在それでもなんとかお腹に収め、はぁ〜ごっそさん……と一服していると、「じゃあ、次は串焼きを食べに連れていってあげる。美味しいところがあるから、そっちでビールと一緒に」と…………。デザートは串焼きにビール。これが男の団体だったらまあ理解できるのだが、みんな女性である。

で、行った場所は、路地裏の道端でおばちゃんがやっている屋台。歩道に小さなテーブルと低い椅子が置いてあるだけ。

どこの部位か分からないが、内臓系と思われるいろいろな種類の串焼きがある。1本の肉が小さいので何本も頼むことにおばちゃんがその場で焼いてくれる。何も言わないと、デフォルトで唐辛子がたっぷりと振りかけられる四川料理、麻辣味の辛い料理が有名だが、串焼きも名物料理だとか。夜食によく食べるんだそうである。串焼きなんて、中国のどこにでもありそうだが……。1本が小さいからけっこう食べれる。結局、十数本は食べていたんじゃないかと。

翌朝、ホテルを出て一人で朝飯を食べに。お目当ては宜賓名物の燃麺(ランミェン)。芽菜(ヤーツァイ)と呼ばれる漬物やピーナッツ、青ネギなどがトッピングされた汁なし麺。それともう一つが、涼餻(リァンガオ)という、こちらも宜賓名物のスイーツ。大きなタライに入っていて、オーダーするとそれを豪快にすくって皿に盛って、タレをかけてくれる。朝から大満足。

“燃”麺なんていうから口の中が燃えるほど辛いのかと思ったら、せいぜいピリ辛ていどこの涼餻の写真は、実は成都で撮ったもの。プリンのように型にはめて作られた工場製。宜賓では撮り忘れてしまった4回にわたってお届けしてきた宜賓食い倒れツアーもこれでお終い。次回からは四川省の省都・成都編へと突入する。
 

佐久間賢三
中国在住9年5か月を経たのち、尻尾を巻いて日本に逃げ帰る。稼いだ金は稼いだ場所で使い果たすという家訓を忠実に守ったため(?)、ほぼ無一文で帰国。食い扶持を稼ぐためにあくせく働き、飲みに行く暇も金もない日々を送っている。日本の料理が世界で一番美味いと思っているが、中華の味も懐かしく感じる今日この頃。