中国美味紀行その89「台湾特別編(その3) 台湾夜市の名物の一つ──蚵仔煎」
- 2018/12/01 00:00
- 佐久間賢三
台湾初日の夜は、台湾名物の夜市へ。台北市内にはいくつかの有名夜市があるが、今回は安直に、一番有名で地下鉄で行ける士林(シーリン)夜市に。そこで、台湾の夜市で食べるべき一品の一つ、蚵仔煎(牡蠣オムレツ)を食べてみた。
観光客でいっぱいの夜市へ
士林夜市に地下鉄に乗って行くことに。それをホテルのフロントの人に言うと、「それなら地下鉄は士林駅じゃなくて、手前の劍潭駅のほうが近いから」と教えてくれた。地図を見ると、確かに劍潭駅のほうがやや近い。
現地では地図も見ずに店が並ぶ細い通りを当てずっぽうにウロウロし、かなり行き過ぎてしまったりしてようやく、食べ物の屋台が並ぶ場所に着いた。屋台が並ぶ場所というか、建物の地下に小さな食堂がいくつも並んでいるという場所だった。
有名な夜市なだけに、周りにいるのはおそらくほとんどが観光客。細い通路の脇に並ぶ店は、混んでいる店とガラガラの店の差が激しい。こういう時こそ空いている店に入って店の人と話したりするのが楽しいのだが、同行者がいることもあり、“混んでいる店のほうがきっと美味しいよね”と日和って、たまたまちょうどテーブルが空いた、客でいっぱいの店に入ることにした。
台湾の夜市に来て、まず食べたかったものの一つが牡蠣オムレツ。かつて、台湾の対面にある中国のアモイ(厦門)で食べたことがあり、ぜひ本場のものを食べてみたかった。アモイの牡蠣オムレツについては、中国美味紀行その21(アモイ編2)「ビールのつまみにピッタリの牡蠣オムレツ──海蛎煎」をご覧になっていただきたい。
牡蠣オムレツは漢字で書くと「蚵仔煎」。これを台湾国語(台湾の標準語)で読むと「カーザイジエン」になるのだが、実際はほとんどの場合、台湾語の読み方である「オアチエン」と呼ばれているようだ。
「オアチエン」の声調が分からなかったのだが、とりあえず適当な声調で言ってみたら通じたようで、ほどなくして出てきたのがこれだ(たぶん店の人は慣れているので、どんな声調で言ったとしても通じたと思う)。
オムレツとはいえ、卵に片栗粉のようなデンプンを混ぜているので、生地にやや粘り気があり、不思議な食感。上にかかっているのは甘辛いソース。肝心の牡蠣は、それほど多く入っておらず、あまり牡蠣の存在を感じることはできなかった。
今回の台湾旅行では他の夜市に行く機会はなかったが、観光客ばかりの夜市ではなく、地元の人たちも多く行く夜市に行ったほうが、本場の味を味わえるのではないだろうか。
佐久間賢三
中国在住9年5か月を経たのち、尻尾を巻いて日本に逃げ帰る。稼いだ金は稼いだ場所で使い果たすという家訓を忠実に守ったため(?)、ほぼ無一文で帰国。食い扶持を稼ぐためにあくせく働き、飲みに行く暇も金もない日々を送っている。日本の料理が世界で一番美味いと思っているが、中華の味も懐かしく感じる今日この頃。