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中国美味紀行その107(日本編29)「東京でも食べられる店が増えてきた中華スイーツの華──豆花」

 中華圏では非常にポピュラーな、豆腐を使ったスイーツが豆花(ドウ フア)である。最近では東京でも豆花を出す店が増えてきて、豆花の専門店まであったりする。そのうちの一つに行ってみた。

柔らかめの豆腐でツルリとした喉越し

 豆花は、台湾に行った際に食べたものを「台湾特別編(その10)豆腐を使った中華スイーツ──豆花」でもご紹介している。日本でいうところの絹ごし豆腐のような滑らかな口触りの豆腐に、豆類やスイーツなどのトッピングをして、甘いタレをかけたものである。

台湾の台南で食べた豆花

 今回訪れた店では、黒ごま豆腐や抹茶豆腐、マンゴー豆腐など、変わりダネの豆腐も選べるなか、やはりここはシンプルに普通の豆腐を選ぶことにした。

 これに甘いタレをかけただけの原味(ユェン ウェイ=プレーンまたはオリジナル味の意味)なら、豆腐の味をストレートに味わうことができ、それはそれでいいのだが、記事に載せる写真としては地味すぎるので、具をトッピングしたものを頼んだ。それがこれである。

豆類がたくさん入っているので食べでがあるが、お腹いっぱいになるほどではない

 トッピングに、アズキとピーナッツ、緑豆といった豆類と、ハトムギ、タピオカ、それに白玉が入った豪華版である。

 タレはほんのりした甘さなので、豆腐や豆類の味もしっかり味わえる。豆腐は柔らかめでふわふわ。ツルリと喉を通り抜けていく。

 緑豆には、漢方的にいうと“下火”(シァ フオ)、つまり体内の熱を冷ます作用もあるので、体がちょっとほてり気味なんていう人にはピッタリである。

 この手の中華スイーツは冷たいものも温かいものもあるので、夏でも冬でも楽しめる。東京でも食べられる店が増えていることだし、日本でもう少し広まってもいいのではないかと思っている。
 

佐久間賢三
中国在住9年5か月を経たのち、尻尾を巻いて日本に逃げ帰る。稼いだ金は稼いだ場所で使い果たすという家訓を忠実に守ったため(?)、ほぼ無一文で帰国。食い扶持を稼ぐためにあくせく働き、飲みに行く暇も金もない日々を送っている。日本の料理が世界で一番美味いと思っているが、中華の味も懐かしく感じる今日この頃。