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中国美味紀行その108(日本編30)「日本では無名だが台湾では定番のスイーツ──仙草ゼリー」

 前回の豆花に続き、今回も台湾で定番のスイーツをご紹介する。台湾発祥のスイーツというと、巷ではタピオカミルクティーがいま大人気である。しかし、単なるデンプンの塊であるタピオカなどよりずっと体に良く、伝統的な定番スイーツが台湾にはある。それが薬草で作ったゼリー、仙草(シエン ツァオ)である。

夏は冷たく、冬は温かく

 以前に台湾に旅行した際、台北の下町にある台湾スイーツの屋台で愛玉子(オーギョーチ)というゼリーを食べた際に、この仙草も食べている(「台湾特別編(その1)果物のタネを使った自然のゼリー──愛玉子」)。

台北で食べた仙草。奥にあるのはピーナッツが入った豆花

 仙草は仙草という名の薬草を煮だしてゼリー状にしたもの。このゼリーには体内にこもった熱を外に出してくれる効能があり、夏は冷たく、冬は温かくしたものが食べられている。薬草っぽい味が少しするが、味は薄いので、これに甘い汁などをかけて食べる。

 台湾の対面にある中国の福建省でもよく食べられており、こちらでは「焼仙草」と呼ばれることが多いようである。

 そんな仙草が食べられる店が、東京のあちこちにできている。そのほとんどが、台湾からやってきた台湾スイーツのチェーン店である。二つの店で食べてみたが、トッピングがやや異なるくらいで、味はだいたい同じ。それがこれである。

ミルクの中に仙草と芋圓(ユー ユェン オレンジ色と灰色の塊)という里芋で作るモチが入ったもの

こちらはアズキとハトムギ、芋圓が入っている

 さっぱりとした甘さで、小腹が空いているけどお腹いっぱいにはなりたくない、なんていう時にちょうどいい。タピオカミルクティーほどインスタ映えはしないが、たまにはこちらも試してみてはいかがだろう。
 

佐久間賢三
中国在住9年5か月を経たのち、尻尾を巻いて日本に逃げ帰る。稼いだ金は稼いだ場所で使い果たすという家訓を忠実に守ったため(?)、ほぼ無一文で帰国。食い扶持を稼ぐためにあくせく働き、飲みに行く暇も金もない日々を送っている。日本の料理が世界で一番美味いと思っているが、中華の味も懐かしく感じる今日この頃。