中国美味紀行その109(日本編31)「かける汁が味の決め手──愛玉子」
- 2019/10/05 00:00
- 佐久間賢三
今回も引き続き、日本で食べられる台湾スイーツを紹介しよう。前回の仙草でちょっとだけ取り上げた、愛玉子(オーギョーチ)である。日本ではかなりマイナーだと思われていた台湾スイーツも、今ではちょっと探せば普通に食べられるようになっている。
台湾で食べたものよりしっかりした歯ざわり
愛玉子(オーギョーチ)がどんなスイーツかについては、何度も書くのは面倒なので、前回同様、「台湾特別編(その1)果物のタネを使った自然のゼリー──愛玉子」をご覧いただきたい。
ところで、導入部で「日本ではかなりマイナーな」と書いてしまったが、けっこうメジャーな中華ファミレスチェーンのデザートにも、この愛玉子がある。漢字で書くと卵を使ったデザートと勘違いされるからか、カナカナで「オーギョーチ」となっている。
このチェーン以外にも、都内には愛玉子を出す台湾スイーツの店がいくつかある。そのうちの一つに行ってみた。その店では変わりダネの愛玉子もいくつかあったが、ここはシンプルに、愛玉子のみにしてみた。それがこれである。
台湾で食べた愛玉子はツルっと柔らかい歯ざわりだったが、この店のはもう少ししっかり固まった感じ。さらに大きく違うのは、愛玉子そのものの味にほんの少し苦みがあることである。だが、これに濃いめのレモン汁をしっかりからませて食べると、その苦みをまったく感じなくなるから不思議だ。やっぱり愛玉子は、かける汁が決め手のようである。
余談ではあるが、先日、谷中銀座に立ち寄ってみた。というのも、台湾の有名な歌手である周杰倫(ジェイ・チョウ)が9月に、同じく台湾のバンド・五月天(メイデイ)のボーカル・阿信と一緒に『説好不哭 / 泣かないと約束したから』という曲を出し、そのMVの舞台が東京で、谷中銀座もちょびっと出てくるからである。
この二人、日本ではそんなに知られていないが、中華圏では「超」が付くほどのスーパースターで、中国の国慶節の長期休暇(10/1〜7)の時期だったので、もしかしたら中国人観光客がけっこう来ているのではないかと思ったのだ。
結果としては、映像に出てくるのがあまりにもちょびっとすぎたからか、しかも、それが谷中銀座と分かる人がほとんどいなかったからか、中国人観光客らしき人はあまり見かけず、欧米人観光客のほうが目立っていたほどだった。
同じくそのMVに出てくる赤羽橋南の交差点のほうは、映像で何度も出てくるうえ、場所も分かりやすく、東京タワーが見えるという写真映えするスポットだからか、中国人観光客がいっぱい来ているとか。
中国でも大ヒットしたアニメ映画『君の名は』の舞台となった階段に次ぐ、中国人観光客の新たな人気観光スポットになるのだろうか。
佐久間賢三
中国在住9年5か月を経たのち、尻尾を巻いて日本に逃げ帰る。稼いだ金は稼いだ場所で使い果たすという家訓を忠実に守ったため(?)、ほぼ無一文で帰国。食い扶持を稼ぐためにあくせく働き、飲みに行く暇も金もない日々を送っている。日本の料理が世界で一番美味いと思っているが、中華の味も懐かしく感じる今日この頃。