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中国美味紀行その112(四川食い倒れ旅編1)「変な形をしている熱々シューマイ──玻璃焼麦」

 これまで東京を中心に日本で食べられる本格中国料理についてご紹介してきたが、先日、四川省に旅行に行ってきたので、今回から四川省で食べた料理の数々を取り上げていく。四川料理といえば、中国では広東料理と並ぶ中国料理のスーパースター。だが、そんな中で、日本ではあまり知られていない料理ばかりを食べてきた。

果たして中国の食堂で現金は使えるのか?

 四川省の省都・成都市の空港に夜遅く着いたので、翌朝からが今回の“四川食い倒れ旅”の始まりとなった。覚えている方もいるかもしれないが、筆者は以前、成都に1年間住んでいたことがあり、この中国美味紀行でも初期に四川編を書いている。

 というわけで最初の朝ご飯は、懐かしのものを食べることにした(というか、食べるものほとんどが懐かしのものばかりだったのだが)。

 成都の中心部近くに、寬窄巷子(クァンヂャイ シァンズ)という観光地があり、連日多くの観光客が訪れる。成都の昔の街並みを再現した、商店街というかレストラン街のようなところである。

 そこの近くにある、朝は包子(バオズ=肉まん)や豆乳などの朝食、昼以降は麺類やぶっかけ飯などを出す食堂に、朝ご飯を食べに行った。そこで食べたのがこれである。

玻璃焼麦(7元=約110円)と豆乳(2元=約30円)。不思議なのはチョイ辛の漬物で、これはなぜか豆乳を頼んだら付いてきた

 玻璃焼麦(ボーリー シャオマイ)、日本語に直訳すると「ガラスシューマイ」である。白い皮がガラスのように透けて見えることから、この名が付いているらしい。中国では、シューマイも立派な朝食なのである。日本のシューマイとは形がまったく違うが、中国では一般的な形のシューマイである。

 この店の玻璃焼麦は、以前に書いた「中国美味紀行(四川編)―その6「このイソギンチャクみたいな食べ物は?――ガラス焼売」でも登場しているので、細かい説明はこちらをご覧になっていただければと思う。

 前回の原稿では「焼売」と書いてしまっていたが、今回店に行ってメニューを見たら、「焼麦」だった。どちらも同じ「シャオマイ」という読み方なのだが、地方によって漢字が違うのである。あと、値段は6年前は6.5元で8個入りだったが、今は0.5元上がって数も6個に減っていた。

 味は薄味で、このまま食べても十分に美味しいが、もう少し濃い目の味がお好みなら、テーブルに備え付けの酢醤油をたらすと、また別の美味さが口の中に広がる。やや甘めの豆乳(温かい)をすすりながら食べると、朝から胃袋は大満足である。

 この店では、店内で食べることもできるが、店頭でテイクアウトしていく人のほうが多い。しかも、ほとんどの人が現金ではなく、スマホを使ったキャッシュレスで支払っていった。

ひっきりなしに客が来て、大きな蒸籠に入っている包子やトウモロコシなどの朝食を買っていく

店の脇では、多くの職人さんたちが生地を練って、包子などを手作りしていた

 日本よりもキャッシュレス化が進んでいる中国。現金はほとんど使えないから外国人旅行者は不便……などという話も聞いていたが、実際には、どこに行っても普通に現金でも払えた。まあ当たり前か。

 これからしばらくの間、正味4日間の四川食い倒れ旅で食べてきた料理を取り上げていく。
おまけカット。道端で見かけたガチャガチャ。中身はそのまんま日本のもの(まあ、商品そのものはどれもメイド・イン・チャイナだろうが)。ここは中国らしく、現金のコインは使えず、スマホのキャッシュレスのみ

佐久間賢三
中国在住9年5か月を経たのち、尻尾を巻いて日本に逃げ帰る。稼いだ金は稼いだ場所で使い果たすという家訓を忠実に守ったため(?)、ほぼ無一文で帰国。食い扶持を稼ぐためにあくせく働き、飲みに行く暇も金もない日々を送っている。日本の料理が世界で一番美味いと思っているが、中華の味も懐かしく感じる今日この頃。