吃貨美味探訪記 No.138(大馬編その5)「マレーシアの空港に着いたらまず食べるカレーヌードル──咖喱麺その1」
- 2020/12/19 00:00
- 佐久間賢三
今回のマレーシア編は、前回のチキンカレーに続き、カレーつながりでカレーヌードル。マレーシアのLCCであるエアアジアの深夜便でクアラルンプール国際空港に早朝に着くたびに、まず食べるのがカレーヌードルなのである。それ以外に、街中でもよく食べに連れていかれる。というわけで、今回から2回にわたりマレーシアのカレーヌードルについてお伝えしていく。
チェーン店とローカル店、見た目は違うが美味さは同じ
エアアジアのフライトは、クアラルンプール国際空港のターミナルはLCC専用のターミナルであるKLIA2(Kuala Lumpur International Airport 2)に発着する。LCC専用というよりもエアアジア専用といってもおかしくないくらい、ターミナルに止まっているのはエアアジアの機体ばかりである。
エアアジアで日本を深夜に出発すると、クアラルンプールに着くのは早朝である。イミグレと税関を抜け、到着ロビーに出ると、すぐ目の前にあるのがマレーシアのレストランチェーン「オールドタウン・ホワイト・コーヒー」の店。ここでまず朝ご飯を食べるのが、ここ数年の習慣になっている。
早朝だし、エアアジアの狭いシートではぐっすり眠れないので疲れていて、うろうろ店を探すのが面倒だというもある(その先にも店は多くある)。店に入ってカウンターでオーダーし、出てくるカレーヌードルがこれである。
日本のカレーっぽさとは違う。でも、やっぱりカレーヌードルで、それほど辛くないのだが、食べているうちに汗が出てくる。なんだかんだいって、赤道に近い熱帯の国である。おそらくスパイスがよく効いているのだろう。ここで一汗かいて閉じていた汗腺を開き、マレーシアの暑い気候に体を慣らしていくのである(科学的根拠はどこにもないが)。
朝ご飯を食べ終えたら向かうのは、空港から高速バスに乗って3時間ほどのところにある、マレーシアで3番目か4番目に大きい都市、イポー。筆者の知り合いは、すべてイポーの人たちなのである。空港からイポーへは、直行の高速バスだけではなく、電車でクアラルンプールの中央駅まで行き、そこから長距離特急に乗っていくこともできる。
いずれにしても、イポーに着くと、現地の知り合いの誰かが駅またはバスターミナルまで迎えに来てくれる。マレーシア編その1の「マレーシアで生まれた中華系料理──肉骨茶」で説明したが、筆者のマレーシアでの知り合いというのは華人である。マレーシアの全人口の4分の1が華人なのだが、イポーは歴史的経緯もあって華人が多い都市で、市の人口の7割を占めている。
イポーに着くのが昼過ぎ。ある時、まずは昼飯でも食べに行くかと連れていかれたのがローカルの食堂で、出てきたのがカレーヌードルだった。
チェーン店のきれいな盛り付けとは違い、ローカル色たっぷり。味付けも違うのだが、味はまったく遜色ない。マレーシアでは、というか日本以外の国では、麺類はズルズルと啜って食べたりせず、一般的にはレンゲに麺を乗せて静々といただく。具に入っている揚げ物がスープをよく吸っていて、これもまた美味い。
タイトルにもあるとおり、中国語でカレーヌードルは「咖喱麺」(ガー リー ミェン)で、英語で書くとcurry meeとなり、マレー語だとmee kari。mee(ミー)というのは麺のことで、これはおそらく、「麺」の字の福建語読みから来ているのだろう。
一口にマレーシアのカレーヌードルといっても、いろいろなものがあり、これを食べ比べるのも楽しい。次回はもう少し違ったカレーヌードルをご紹介する。
佐久間賢三
9年5か月に及ぶ中国滞在から帰国してきて早5年半以上。日本での生活をなんとか続けながらも、外国のあの刺激的な日々が恋しくなってきている今日この頃。世界的なコロナ禍の影響でしばらくは海外旅行に行けそうもなく、雑誌の海外旅行特集や昔の写真を見てウサを晴らそうとするも、かえってウップンが溜まるという悪循環の中で身悶えている。