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吃貨美味探訪記 No.147(日本編その42)「日本ではここだけ? 香港名物とマカオ名物を合体させたバーガー──豬扒菠蘿包」

 先日、仕事の出張でとある地方都市に行った際、おそらく日本ではこの店でしか食べられないであろうマカオの新しい名物を食べた。マカオの名物と香港の名物を合体させたもので、5年ほど前にマカオに登場し、以来、現地では人気の一品になっているという。さて、それはどんな食べ物なのか。

日本語にするとパイナップルパンポークチョップバーガー

 出張に行く前、いつものように現地の美味しい食べ物は何かとネットで探していたところ、たまたま見つけたのが香港人経営の店の「マカオバーガー」なる食べ物。いったい何なのか興味がわき、東京に戻る前に食べに行ってみた。

 店の人に話を聞くと、これはマカオ名物の「豬扒包」(ジュー パー バーウ 広東語読み、以下同)と、香港名物の「菠蘿包」(ボー ロー バーウ)をミックスさせたもので、5年ほど前にマカオに登場し、それ以来、人気となっているのだという。それがこれである。

バンズの上に立っているのはマカオの旗

マカオ名物の食べ物として特に有名なのはエッグタルト「蛋撻」(ダーン ターッ)。この店でも食べられる「豬扒包」は日本語にすると「ポークチョップバーガー」で、焼いたポークステーキをバンズにはさんだバーガーである。豬扒がポークチョップ、包が「バーガー」的な意味で、包はハンバーガーを意味する中国語の「漢堡包」(ホン ボウ バーウ)から来ている。もっと言うと、「漢堡」はドイツの都市ハンブルクの中国語名なので、漢字の読みと意味をうまく合わせた呼び名といえる。

 一方、香港名物の「菠蘿包」はパイナップルパンの意味で、日本のメロンパンによく似ている。そしてメロンパン同様、菠蘿包にパイナップルは使われていない。菠蘿包については『中国美味紀行その81(日本編15)「香港茶餐廳メシ編その1 茶餐廳の定番中の定番──鴛鴦茶&パイナップルパン」』でも紹介しているので、興味のある方はそちらもご覧になっていただきたい。

 そして、豬扒を菠蘿包ではさんだのが「豬扒菠蘿包」というわけである。ただしこれは筆者が菠蘿包と豬扒包を適当に組み合わせて付けた名前で、現地でこの名称が一般的なのかどうか分からない。ネットで調べると、菠蘿豬扒包と逆に書かれていたりもするし、そもそもヒット数が少なく、普通の「豬扒包」のほうが検索結果として多く出てくるほど。日本語にするとパイナップルパンポークチョップバーガーだろうか。えらい長い名前である。

 出張先の店で食べたものは、ポークチョップではなく豚肉を炒めたものが中にはさまっていたが(コストの関係だろう)、菠蘿包の甘みと豚肉炒めの甘辛い味が口の中でミックスされると、微妙な味わい。決して悪い意味で言っているわけではなく、特別美味いというわけではないが、なんかもう一度食べたくなるような、不思議な味であった。日本でこれが食べられるのも、おそらくこの店だけだろう。

 豬扒包そのものは、10数年前にマカオのフェリー乗り場にある食堂で一度だけ食べたことがあり、普通の食堂なのにけっこう美味しかったので驚いた。次は有名店で、と思っていたが、その後はなかなかマカオに行く機会がなく、行ったとしても有名店にまで足を運ぶ時間がなかったということで、結局は食べず終いだった。

 というわけで、次回マカオに行く機会があったら、有名店の豬扒包とともに、本場の豬扒菠蘿包も食べてみたいものである。
おまけカットその1 マカオ観光の中心地・セナド広場から観光名所の聖ポール天主堂跡に向かう狭い路地。この近辺にも豬扒菠蘿包を売る店がある

おまけカットその2 聖ポール天主堂跡。マカオといえばここ(カジノ以外で)。16世紀末に建てられた教会だが、1835年の火事で焼け、正面のみが残っている

佐久間賢三
9年5か月に及ぶ中国滞在から帰国してきて早5年半以上。日本での生活をなんとか続けながらも、外国のあの刺激的な日々が恋しくなってきている今日この頃。世界的なコロナ禍の影響でしばらくは海外旅行に行けそうもなく、雑誌の海外旅行特集や昔の写真を見てウサを晴らそうとするも、かえってウップンが溜まるという悪循環の中で身悶えている。