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吃貨美味探訪記 No.149(日本編その43)「これまで食わず嫌いだったことを反省──香港風エッグタルト」

 前回の日本編でマカオ名物の豬扒菠蘿包(パイナップルパンポークチョップバーガー)を取り上げた際に、同じくマカオ名物の蛋撻(エッグタルト)もご紹介したが、今回は、最近日本でも食べられるところが増えてきた香港風のエッグタルトを食べてみた。かつて香港の隣の深圳に住んでいたものの、香港では食べたことがなく、食べるのは今回が初めてである。

香港風とマカオ風の違いはどこに?

 日本で食べられる香港風エッグタルトについて話を進める前に、マカオで食べられる本場の「蛋撻」(ダーン ターッ 広東語読み、以下同)については『中国美味紀行その60(深圳編14)「マカオ遠征1 イギリス人が作ったポルトガル風タルトがマカオの名物に──エッグタルト」』でご紹介しているので、興味のある方はご覧になっていただきたい。

 そして、そこで紹介している店が日本にも進出してきており、そちらで食べたエッグタルトについては『中国美味紀行その100(日本編22)「マカオで生まれたポルトガル式エッグタルトが日本でも──葡式蛋撻」』でご紹介している。

 というわけで、エッグタルトを取り上げるのは今回が3度目となるわけだが、これまでの2回がマカオのエッグタルトであったのに対し、今回取り上げるのは香港風のエッグタルトである。マカオのエッグタルトと元は同じくするものの、そこから独自の進化を遂げ、マカオのものとはやや異なっている。

 東京でも、香港スタイルの喫茶軽食店「茶餐廳」(ツァ ツァン テーン)に行くと香港風エッグタルトを食べることができるが、それ以外にもテイクアウト専門店がいくつかできている。今回はそこに行って買ってきてみた。それがこれである。

左手前が香港風、右奥がマカオ風。どちらも同じ店のもの

 見た目だけの違いでいうと、エッグタルトの表面に焦げ目がついているかついていないか。香港風のほうはまるでプリンのようである。これが一番の違いである。ここではそれぞれ1種類ずつしかないが、香港風のほうは生地の違いによって2種類あり、一つはマカオ風と同じようなパイ生地を使った酥皮蛋撻で、もう一つはクッキー生地を使った曲奇皮蛋撻である。

それぞれ半分に割ってみると パイ生地については、マカオ風にはバターが使われているのに対し、香港風にはラードが使われているそうで、もう一方のクッキー生地のほうは、やや塩気のある味わいとなっているそうである。
「そうである」などと書いたのは、前述したように香港でエッグタルトを食べたことがなく、ネットで調べたらそのように書かれていたからである。我ながらなんとも無責任な原稿であるが、知ったかぶりをせず正直に書いているだけマシだと思っていただければ幸いである。

 で、今回買った香港風のほうは、店の説明によるとクッキー生地が使われているとのことだったが、マカオ風の生地と比べてサクサク感がやや違ったものの、味的にはそれほど違いがなかった。中身のフィリングのほうは、マカオ風は卵の味がやや濃厚で、香港風のほうがあっさりめといったところか。いずれにしても、どちらも美味しい。

 実は、深圳に住んでいた時、初めて食べたエッグタルトがマカオ風だったものだから、エッグタルトというのは焦げ目があるもので、プリンみたいなエッグタルトは邪道だと勝手に思っていた。しかし実際には、香港風には香港風の良さがあることを、今回初めて知った。本場の香港風エッグタルトを食べてみるためにも、早くまた香港に行けるようになってほしいものである。
おまけカット。香港の街中のいたるところにある小食(おやつ)の店。すべてお持ち帰り

佐久間賢三
9年5か月に及ぶ中国滞在から帰国してきて早5年半以上。日本での生活をなんとか続けながらも、外国のあの刺激的な日々が恋しくなってきている今日この頃。世界的なコロナ禍の影響でしばらくは海外旅行に行けそうもなく、雑誌の海外旅行特集や昔の写真を見てウサを晴らそうとするも、かえってウップンが溜まるという悪循環の中で身悶えている。