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吃貨美味探訪記 No.162(マレーシア編その17)「ツルツルした食感が朝のお腹に優しい──腸粉」

 今回は、中国南部の広東省および香港では朝食の定番である腸粉(チャン フェン)である。マレーシアの都市とはいえ住民の7割をチャイニーズ系が占め、そのなかでも広東系が多いイポーでも、腸粉は朝食でよく食べられている。

作っているところを初めて見た

 これまで何度も書いているが、イポーでは毎日の朝食は家族で車に乗って外に食べにいく。食堂近くの路上に車を停めて、店内に入るとこんなふうになっている。建物の中にあるが、開けっぴろげのオープンエアのところが多い。

朝食時は、どこの店もチャイニーズ系の人たちでいっぱい

温かいコーヒーはKopi、コンデンスミルクなし(でも砂糖は入っている)はKopi-O(コピ・オー)という 店内にいろいろな料理の屋台があり、テーブルについたら、食べたい料理の屋台に行って注文をする。できた料理は屋台の人がテーブルまで持ってきてくれて、その場でお金を払う。大人数で行くと、それぞれ食べるものが違うから、料理を頼む屋台も異なり、料理が運ばれてくるたびにお金を払うことになる。

 筆者はいつも現地の知り合いにお任せなので、何が出てくるのか分からない。Kopi ais(コピ・アイス=コンデンスミルクが入った甘いアイスコーヒー)を飲みながら待っていると、この日、出てきたのがこの腸粉である。

上に乗っているのは焦がしネギ(かな?)、レンゲの上にあるのは唐辛子系のタレ(だと思う)

 腸粉は米粉とその他の粉を加えたものを水で溶き、それをバットの上で薄く平らに伸ばして蒸す。ゼリー状に固まったらクルクルと丸め、タレをかけて出来上がり。蒸す際に溶き卵や青ネギ、エビ、叉焼などを具として入れることが多い。

 腸粉については、以前に中国美味紀行その83(日本編17)「香港茶餐廳メシ編その3 名前はビックリだが、朝食や飲茶の定番──腸粉」でも取り上げているので、興味のある方はそちらもご覧になっていただきたい。

 筆者が中国・広東省の深圳に住んでいた時にも、朝食でたまにこの腸粉を食べていたので、お馴染みの味。タレの味は濃すぎず、薄すぎず。ツルツルした食感が口に優しく、朝のお腹にも優しい。

 何度も食べているのに、どうやって作るのか知らなかったので、屋台で作っているところを見学した。

写真は左上→右→左下→右と続く。オジサンの腕に入れ墨のようなものが見えるが、よく見るとこれは、入れ墨模様の長袖Tシャツだった

 小さい穴がたくさん空いた金属製のバットの上に薄い布を敷き、そこに米粉の汁を平均的に薄く伸ばしていく。パラパラっと具をまぶしたら、フタをして蒸すこと2分。布ごと取り外し、平らなところに生地を剥がし落としていく。それをヘラで丸めていき、食べやすいようにヘラで細かく分けるように切り、皿に置いてタレをかける。

 この作り方以外にも、大きな正方形の蒸し器が引き出しのようになっていて、その引き出しの中に米粉の汁を流し入れて蒸すという方法もある。深圳にある屋台のような店で売っているテイクアウトの腸粉は、たいていはこちらの作り方である。

 さて、イポーで食べる腸粉だが、さすがにこれだけでは物足りないので、あともう1品、何か別のものを頼むくらいがちょうどいい。マレーシアに行くと、いつも朝からお腹は大満足である。
おまけカット。現地の華字紙。大きな見出しは繁体字(日本でいうところの旧字体)で、本文が簡体字(同・新字体)というのが面白い

佐久間賢三
9年5か月に及ぶ中国滞在から帰国してきて早5年半以上。日本での生活をなんとか続けながらも、外国のあの刺激的な日々が恋しくなってきている今日この頃。世界的なコロナ禍の影響でしばらくは海外旅行に行けそうもなく、雑誌の海外旅行特集や昔の写真を見てウサを晴らそうとするも、かえってウップンが溜まるという悪循環の中で身悶えている。