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吃貨美味探訪記 No.181(日本編その59)「サンバルソースがクセになるマレーシアの焼き鳥──サテー」

 今回の日本編もまた、いつものような中国系料理ではなく、東京で食べたマレーシア料理を取り上げる。それは、マレーシアの焼き鳥「サテー」である。本場とは味がちょっと異なり、日本人の口に合う味になってはいたが、そこに添えられたソースが、クセになる味だった。

舌だけがそのままマレーシアに運ばれて

 近くマレーシアに行くにあたり、東京在住のマレーシア人の知り合い(華人)と会い、ビールを飲み、マレーシアの料理を食べながら、互いに頼み事と頼まれ事。そして今のマレーシアの状況などについても話を聞いた。

 先付けとして、「イカン・ビリス」とピーナッツを炒った、マレーシアでは定番のおつまみ。これ、おそらく日本の煮干しでも作れると思うが、塩気はあまり強くなく、なかなかイケる。指でつかんで口に放り込んだら、ビールを飲み、自動的にまた手が皿に伸びていく。

下に敷かれているのはバナナの葉。マレーシアでは昔はタダのようなものだったが、最近は値段が上がり、使わなくなった店も多いという

 イカン・ビリスは、カタクチイワシの小魚を茹でて塩漬けにしたあと、乾燥させたもの。マレー語でイカンは魚、ビリスは小さいという意味。マレーシアではさまざまな料理に使われ、なくてはならない食材だ。

市場などでは、いろいろな種類のイカン・ビリスが量り売りでどっさりと売られているのをよく見かける

 続いては「アヤム・ゴレン」。下の写真を見て分かるとおり、これはマレーシア版フライドチキンだ。

 アヤムは鶏肉、ゴレンは揚げるとか炒めるとかという意味で、マレーシアやインドネシアの炒飯「ナシ・ゴレン」のゴレンと同じだ。それほどスパイスは強くなかったが、肉がすごく柔らかい。ウィキペディアで調べたら、ヤシ油で揚げるとあったので、そのあたりが柔らかさの秘密なのかもしれない。手元にティッシュは欠かせないが、こちらもビールにピッタリの味。

 そして本日のメインが、マレーシアの焼き鳥「サテー」である。

 マレーシアで食べたサテーについては、吃貨美味探訪記 No.134(大馬編その3)「日本の焼き鳥よりも甘いけど、慣れると美味い──サテー」で取り上げているので、興味がある方はそちらをご覧になっていただきたい。

 本場のサテーは、一本あたりの肉の量がこれの半分くらいで、味付けはもっと甘い。おそらくこの店のサテーは、日本人向けに甘さを抑えているのだろう。

現地で食べた焼き立てのサテーが一番美味かった

 そのまま食べてもいいが、皿に添えてある赤いソースをつけると、またちょっと違う味に。これはサンバルで、マレーシア料理にはなくてはならない調味料。マレーシアの知り合い曰く、これを作るのはそれほど難しくなく、唐辛子と小さな赤たまねぎ、トマト、それにエビを発酵させたペーストなどを混ぜ合わせ、炒めると出来上がりだそうである。ここで重要なのが、エビを発酵させたペーストで、マレー語では「ブラチャン」と呼び、かなり臭いらしい。

 ソースだけ舐めてみたら、日本にはない味。臭さはまったく感じず、舌だけがそのままマレーシアに運ばれていったような感覚に陥る。しばしその気分を堪能したあと、また舐める。また舐める。すっかりこの味に魅了されてしまった。今回マレーシアに行った時には、サンバルをもう少し意識して味わおうと思う。

 マレーシアで泊まる場所も確保したし、入国のためのアプリ登録も済ませてある。あとは出発を待つのみ。現地ではマレーシアの料理を食べまくる。せっかくこのところ体重が減少傾向にあったのに、また元の木阿弥になりそうである。
おまけカット。イポーから南西に直線距離で60kmほどのところにある港町ルモッ(Lumut)のメインストリート

佐久間賢三
9年5か月に及ぶ中国滞在から帰国してきて早5年半以上。日本での生活をなんとか続けながらも、外国のあの刺激的な日々が恋しくなってきている今日この頃。世界的なコロナ禍の影響でしばらくは海外旅行に行けそうもなく、雑誌の海外旅行特集や昔の写真を見てウサを晴らそうとするも、かえってウップンが溜まるという悪循環の中で身悶えている。